ポルカドットスティングレイは想像以上にDIYで、かなり泥臭い 雫のクリエイティビティを起点に結成10周年を振り返る

今年で結成10周年を迎えたポルカドットスティングレイ。2015年に福岡で結成され、同年8月に現体制となり、2016年に公開した「テレキャスター・ストライプ」で一躍その名を広めた4人は、凄まじい勢いで音楽シーンを席巻していった。アニバーサリーイヤーとなる今年は、結成記念日である1月8日にYouTubeで生配信を行ない、1月22日にアニバーサリーイヤー第1弾シングル「あのね、」をリリースすることを発表。まだまだここからも楽しみなトピックが控えていそうだが、ここでは最新曲「あのね、」と、10年間バンドを牽引してきたギターボーカル・雫のクリエイティビティについて改めて振り返ってみたい。
「あのね、」は、TVアニメ『この会社に好きな人がいます』のオープニングテーマ曲として現在オンエア中。同アニメは、付き合っていることを社内の人達には秘密にしているカップルの日常を描いた、癒しとスリル満載の社内恋愛コメディだ。雫は「あのね、」について、「限界会社員だった昔の記憶を思い出しながら、オトナでも共感できる青春の曲を書きました」とコメントを寄せている。“限界会社員”というワードがあるが、雫はかつてゲームクリエイターとして社会人経験をしているのは有名な話。自身が手がけたアプリゲームが、App Storeの無料ゲームランキングで1位を獲得したこともあり、そこで得た経験とノウハウはポルカドットスティングレイにも活きている。活きているというか、そのときに培ったマーケティング能力こそが、雫を雫たらしめるものといえるだろう。
SNSを使ってファンとコミュニケーションを取りながら、リスナーの嗜好やニーズを徹底的に把握、分析。それを元にデモを作り、エジマハルシ(Gt)、ウエムラユウキ(Ba)、ミツヤスカズマ(Dr)という超凄腕のメンバー達と共に形にしていく。また、マーケティングに肝心な“その作品を知ってもらうための施策”として、EPやアルバムといったボリュームのある作品をリリースする際に制作しているメドレー演奏トレーラーも恒例になっている。
バンドイメージやクリエイティヴこそポップでキャッチー。変幻自在で様々な表情を見せながら、ときにユーモアも忘れずに、それでいてしっかりとスタイリッシュな形に落とし込んでいるのだが、その実、想像以上にDIYで、かなり泥臭い。以前、彼女にインタビューした際に、自身の稼働量について“社畜の動き”と笑いながら話していたことを覚えている。