2025.01.22 20:00

ポルカドットスティングレイは想像以上にDIYで、かなり泥臭い　雫のクリエイティビティを起点に結成10周年を振り返る

　ギターロックバンドというフォーマットではありながらも、その枠から飛び出す楽曲も生み出しているポルカだが、歌詞に自身の心情を盛り込まないというのも雫の作風のひとつだろう。市場のニーズや、タイアップであればクライアントの要望はありつつも、彼女のフィルターを通して自身の手で綴っているので、それはまぎれもなく雫の歌詞ではある。しかし、“いま自分が何を思っているのか”という、ある種のシンガーソングライター然とした、自身の心情を自発的に言葉に落とし込むという行為をほとんどしていない。

　もちろん「ラブコール」や「FREE」といったファンへの思いを書いたものもあるにはあるのだが、それも元を辿ればファンからの要望に応えて書いたものである。また、昨年の第二章開幕時に当時の悲喜交交を吐き出した（雫曰く「キラキラのゲロみたいな曲」）「JO-DEKI」もあるが、本当にそれぐらいだろう。この10年の中でも片手に収まるほどしかなく（翻って、そこには彼女が腹の底から本気で思っていることがしたためられているとも言える）、楽曲を制作する際には、各曲にペルソナを設けて、ターゲットをしっかりと刺しに行くのが雫のスタンスだ。それは決して自分の想いを飲み込んでいるわけでなく、ファンであり、クライアントであり、ポルカドットスティングレイを求めてくれる人達の想いに応えることこそが、雫というクリエイターのアイデンティティだからだ。また、策士的な面がフィーチャーされる雫だが、言葉の節々からメンバーへの信頼や、この4人でバンドをしていることを楽しんでいることが強く伝わってくるところも記しておきたい。

ポルカドットスティングレイ「ラブコール」ライブ映像

ポルカドットスティングレイ「JO-DEKI」MV

　最新曲「あのね、」は、ラブコメらしい爽やかさのあるアップテンポナンバーで、“ピュア”といった単語が自然と頭に浮かんでくるサウンド感ではありながらも、もどかしい気持ちを爆発させるようにギターが暴れ回っているところがポルカらしい。また、本楽曲のテレビサイズは、原曲にはないイントロを加えた1コーラスと、2Aメロで終わるという構成になっているのだが、締めの部分に『この会社に好きな人がいます』と強くリンクする〈あのね、今くらいは名前で呼んでみてもいい？〉という一節を置いていて、原作ファンはもちろんのこと、社内恋愛をはじめとした口外禁止の恋愛をしている、もしくはそれに憧れている人達の琴線に触れるものにしているところもお見事。本作でもしっかりとツボを突く形に仕上がっている。

TVアニメ「この会社に好きな人がいます」ノンクレジットOP｜ポルカドットスティングレイ「あのね、」

　華々しく10周年をスタートさせたポルカドットスティングレイは、“はじまりの曲”である「テレキャスター・ストライプ」を晴着姿で演奏している10周年記念ティザーMVを公開。映像の最後に雫が放つ一言に期待を寄せながら、ポルカが仕掛ける10周年イヤーを楽しみたい。

ポルカドットスティングレイ結成10周年ティザーMV「テレキャスター・ストライプ」

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