三枝明那が音楽を介してリスナーと深めた団結力 初ワンマン、生涯一度しかない特別なステージを観た

三枝明那、初ワンマンレポート

 12月7日に東京·武蔵野の森スポーツプラザ メインアリーナにて、「にじさんじ」所属のバーチャルライバー・三枝明那が『Saegusa Akina 1st Solo LIVE "Unity"』を開催した。

三枝明那『Saegusa Akina 1st Solo LIVE "Unity"』ライブ写真

 これまでも様々な配信やイベントで彼の音楽的才能は示されてきたが、今回は待望ともいえる自身初の単独ライブ。9月には初のミニアルバム『UniVerse』も発売され、音楽活動が充実する中で開催されるとあって、注目度の高いライブだ。

 ステージ一面に朽ち果てたビル群が映し出され、廃墟となった街に少しずつ光が差し色づいたところで、三枝明那がコンクリートの壁を壊してステージに登場。

 この日の1曲目は「あさが来る!」だ。赤いペンライトが揺れる中、メロディを泳ぐように歌う。「ようこそUnityへ!今日は最後まで楽しんでください!」と叫び、2曲目の「うぇいびー」へ。大きなステージを左右に動きながら、澄んだ歌声を響かせる。

 「ありがとうございます! 三枝明那です!」と興奮気味に挨拶すると「なんか俺よりみんなの方が緊張してるっぽい」と笑いを交えながら、「もっとみんなの声を聞きたい」とコール&レスポンスで声出しを促して、次の曲へ。

 「あれ? なんか雨降ってきてない? 俺ちょっと着替えてくるわ」といたずらっぽく微笑みステージから姿を消すと雨音が鳴り響き、モニターの向こうに雨が降り始める。すると、ステージ上段にはRain Dropsの衣装に着替えた三枝があらわれ、Rain Dropsの楽曲「ラブヘイト」をソロバージョンで披露した。そして、美しいキーボードのイントロに続いて歌われたのは「シャロウ」。星空を模したようなきらめいたステージをバックに、声に切なさを漂わせしっとりと歌声を響かせた。

 バーチャルならではの演出で魅せたのは「終末じゃない」(ぬゆり)のカバーだ。ステージ上のモニターにノイズが走り、三枝の過去映像が次々と映し出され、それが途切れると時計の秒針が会場に鳴り響く。髪に青いメッシュが入ったもう一人の三枝が登場。直後、三枝本人もステージへあらわれ楽曲を歌い上げていく。二人の三枝が目を合わせたり背中合わせになったり、コンテンポラリーダンスを交えながら、楽曲の複雑さを見事に表現していき、曲の終盤では強い光が二人を包むと、新しいライブ衣装に着替えた三枝があらわれるという劇的な演出も印象的だった。

 これまで数々の歌ってみた動画やイベントでも見せてきたとおり、既存の楽曲をアレンジし己の解釈で歌い上げることには定評がある三枝だが、今回のライブでも数々のカバー曲を披露。バンドサウンドとの相性もぴったりのライブ映えする「テレキャスタービーボーイ」(すりぃ)、「浮遊感」(はるふり)とリズム感をもってのびやかな声を聴かせる。さらに激しく行き交う青とピンクのレーザーライトの中で「マーシャルマキシマイザー」(柊マグネタイト)と、次々に人気曲を三枝流に歌い上げていった。

 軽快なトークとは打って変わってシリアスな表情を見せ「アナザーシェード」を熱唱したシーンも印象深い。客席の歌声も合わさり、会場の一体感が増していく。続く「RED」では激しく交差するレーザーや電飾が施されたフラッグ、炎の特効と、会場中が赤く照らされ、客席の熱量も高まっていく。そして「リテラシー」(wotaku)のカバーでは、スタンドマイクとダンスで色気のある歌声を魅了。三枝のもつ表現力の幅広さを見せつけた。

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