葛葉、三枝明那(Rain Drops)、不破湊(ROF-MAO)インタビュー:音楽活動への思い、アーティストとして成し遂げたい夢

葛葉、三枝明那、不破湊 特別鼎談

 昨年の音楽シーンを席巻したAdo、『NHK紅白歌合戦』に初出場したまふまふなど、ネットから飛び出したアーティストが日本の音楽シーンを賑わせている。バーチャルライバー/VTuberのシーンも同様、コロナ禍という情勢も手伝ってここ2年で急成長。有名企業からのコラボレーション依頼も後を絶たず、それに伴いライバーの数も急増し1万3000人を突破。

 そんなバーチャルライバーシーンを黎明期から支えているひとつが、月ノ美兎、樋口楓、静凛などを輩出した、バーチャルライバーグループの“にじさんじ”だ。今回は、にじさんじ所属の葛葉、三枝明那(Rain Drops)、不破湊(ROF-MAO)による鼎談を企画。バーチャルライバーのシーンに足を踏み入れたきっかけや、その中で音楽活動を行う意義、活動に寄せる思いなど、たっぷりと語ってもらった。(榑林史章)

ユニット活動ができたのは、ある種の運命的な出会い(三枝)

Rain Drops 三枝明那
Rain Drops 三枝明那

ーーまず、それぞれが最初に触れたバーチャルライバーや、「にじさんじ」の所属になったきっかけなどをお話しください。

不破:僕は、もともと配信というものに興味があって、ゲームや音楽の配信をよく見ていたんですけど、月ノ美兎さん、シロちゃん(電脳少女シロ)、のじゃロリちゃん(バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん)などが人狼ゲームの配信をやっているのを観たのが、バーチャルライバーに興味を持ったきっかけです。月ノさんらがにじさんじ所属だったこともあって、にじさんじに興味が湧いて。自分でもやりたいと思うようになった時に、一人でやるよりも仲間がいたほうが楽しいだろうと思って。それで、たくさん人を巻き込むなら、にじさんじなんじゃないかと。

三枝:僕は昔からネットカルチャーが好きで。それがキズナアイちゃんや輝夜月ちゃんを筆頭に、いわゆるバーチャルライバー黎明期と呼ばれる時期だったんですけど、バーチャルライバーという文化が浸透していく中で、旧にじさんじゲーマーズの葛葉くんや椎名唯華さんが、ポケモンゲームの配信をやっていたのを観て、にじさんじに興味を持ちました。僕は、もともと音楽活動をやっていたのもあって、もしかしたらにじさんじなら僕のやりたかったことを、より多くの人に届けられるんじゃないかと思って門を叩いたという次第です。

葛葉:僕が始めた時は、バーチャルライバーというもの自体がすごく目新しくて。僕も最初はキズナアイさんで、彼女を筆頭にいろんな方が出て来て。四天王と呼ばれる人たちを見るようになって、「こういう人たちがいるんだ〜」っていう感じで興味を持って、足を踏み入れました。

ーーにじさんじに入った時は、ゆくゆくはこうなりたいみたいな、活動のイメージみたいなものはあったのですか?

葛葉:僕は興味本位で入った部分が大きいので、まさか自分がこうなるとは、当時は思ってもみませんでした。

不破:僕もビジョンがはっきりしていたわけではなかったけど、歌うことが好きだったので、音楽をやりたいとは思っていましたね。

三枝:僕は入る時に「音楽をやる男性ライバーの中で俺が必ず1番になります!」と豪語しました(笑)。

ーー三枝さんはRain Drops、不破さんはROF-MAOとユニット活動も行っていますが、個人の活動とはどう分けていますか?

不破:ユニットは自分一人ではやらないことができるので、自分を成長させてくれる新しいきっかけをくれる存在です。

三枝:基本的には双方向で、自分の活動がグループのためになると思っているし、グループで頑張った分だけ、それが個人の活動に返って来ると考えています。

ーー個人の活動にフィードバックされるものが多いと。葛葉さんも、いずれは新しいユニットを組むのでしょうか?

葛葉:もしかしたら、そういうこともあるかもしれません。クロノワールもやっていますが、ユニットも楽しそうですよね。

三枝:ただ、にじさんじは群像劇仕様と言いますか、おのおのが主体性を持って活動している部分が大きいので、最初からユニットをやることを意識するのは違うと思うんです。やりたい方向性が同じメンバーと出会うことで初めて成立するものなので、僕と不破くんの場合はある種の運命的な出会いだったかもしれません。

ーー皆さんを見てバーチャルライバーになりたいと思う人が、どんどん増えているんでしょうね。

三枝:今の若い子たちの中には、声優や俳優、アイドルになりたいと思う選択肢の一つとして、バーチャルライバーも芽生えているのかなと思います。

葛葉:実際にバーチャルライバーの数は年々増えて、今は1万人以上もいる。一気に浸透して来ている感覚はあります。

不破:にじさんじでも「バーチャル・タレント・アカデミー」というバーチャルライバーの育成プロジェクトも始まっていて、すごく広がっている印象はあります。

King Gnuさんの曲を初めて聴いた時は衝撃を受けました(葛葉)

葛葉
葛葉

ーー皆さんは音楽活動を積極的に行っているということで、影響を受けたアーティストや曲などを教えてください。

不破:僕はもともと兄の影響で、いろいろな音楽を聴くようになったし、学生時代はバンドをやったりしていました。にわか程度ですけどアイドルも好きです。一番多くライブに行ってテンションが上がったのは、a crowd of rebellionさんなどラウド系のバンドで、マキシマム ザ ホルモンさんのコピーをやったこともあります。今は、そこまでゴリゴリの音楽はやっていないけど、要所要所では自分が好きだったバンドの曲を「歌ってみた」であげたり、年に1〜2回くらい弾き語り配信をやったりもしています。

三枝:僕も家族の影響で、姉が聴いていたサカナクションさんや嵐さんなど、J-POPやJ-ROCKが入り口です。もっと強烈に自分の今のスタンスに影響したのは、ネットミュージックです。ニコニコ動画のボカロ曲に始まり、そこから飛び出したヨルシカさんや米津玄師さん、ずっと真夜中でいいのに。さんなど、そういう音楽をずっと聴いて来ました。

葛葉:自分はアニメの主題歌に始まり、そこからL'Arc-en-Cielさんにめちゃめちゃハマって、シドさんとかも聴いたり。でも広く浅くで、同時期にネットミュージックも盛んになり始めたので、ボカロの曲も聴きつつラルクさんも聴きつつでした。あと、アニメのエンディングテーマでKing Gnuさんの曲を初めて聴いた時は、「何だこれは!」と衝撃を受けました。

ーー『BANANA FISH』のエンディングテーマ「Prayer X」ですか?

葛葉:そうです! それまではバンドと言ったら明るいロックしか聴いたことがなかったんですけど、「Prayer X」は気づいたら耳に残っているみたいな感じで、自分の中ですごく印象に残っています。

ーー葛葉さんにとっての「Prayer X」のような、自分の中で印象に残っている神曲みたいなものはお二人にもありますか?

不破:それぞれでいい曲があるので選ぶのは難しいですけど、嵐さんの楽曲はどれもすごくバランスがよくて、神曲が多いと思います。個人的には「きっと大丈夫」が好きです。

三枝:あの曲、いいよね。僕は、ボカロPのバルーン(須田景凪)さん。

ーーバルーンと言えば「シャルル」が有名です。

三枝:僕が最初に聴いたのは「アルコーブ」という曲だったんですけど、当時はまだインディーズで、『apartment』などアルバムを買って追いかけていました。

ーー歌い手さんはどうですか?

葛葉:歌い手の中では、めいちゃんが一番好きです。

不破:僕はもるでおさん。彼のような上手くて格好いい歌を聴くと、自分ももっと上手くなりたいと思って、すごく刺激になります。

三枝:めちゃめちゃいるんですけど、最近の方だとあおるんくん、鯨木くん、subaruくん。僕のオリジナル曲を書き下ろしてくれた、いゔどっとくんは、精力的に頑張っていて尊敬しています。同業者では、今間違いなく熱いのがローレン・イロアスくん。ポテンシャルが高くて、もっといろんな曲を聴いてみたいと思いました。

ーーどういうところをポイントに聴くのですか?

三枝:ひたすらグルーヴ感、リズムです。そういう意味では葛葉くんが歌った「終末じゃない」は、めっちゃリズム感が良くて最高です。

葛葉:やった〜!

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