岸田繁、玉井詩織、花村想太&大野雄大、リトグリ……特別なコラボも披露された『ジブリをうたう』コンサート

『ジブリをうたう』レポ
手嶌葵
手嶌葵

 ここで、本コンサートでは唯一のオリジナルシンガーである手嶌葵が登場。映画『コクリコ坂から』のメドレー(「夜明け」「朝ごはんの歌」「初恋の頃」「さよならの夏」)を、この映画の編曲者でもある武部のピアノをバックに歌った。優しく可憐で儚げな、それでいて一本筋の通った気高い歌声を披露し、国際フォーラムを神聖な空気で包み込んだ。

木村カエラ
木村カエラ

 赤を基調としたカラフルなワンピース姿の木村カエラが姿を現すと、一転して賑やかな雰囲気に。ジブリ映画『魔女の宅急便』のオープニングテーマとして起用された、オールディーズテイストの「ルージュの伝言」を元気いっぱいに歌い、会場からは自然発生的にハンドクラップが湧き起こる。さらに、映画『紅の豚』エンディングテーマに起用された加藤登紀子の「時には昔の話を」をしっとりと歌い上げ、オーディエンスのノスタルジックな思いをかき立てた。

花村想太(Da-iCE)と大野雄大(Da-iCE)
花村想太(Da-iCE)と大野雄大(Da-iCE)

 「続いては、今回のコンサートにぜひともお呼びしたいという僕のラブコールで実現しました」と言って武部が呼び込んだのは、Da-iCEの花村想太と大野雄大。5000人を埋め尽くした客席を前に、「めちゃめちゃ緊張しています」と口々に言いつつ、映画『千と千尋の神隠し』のテーマソング「いのちの名前」を、胸がすくようなハイトーンボイスで歌い上げる。そして再びLittle Glee Monsterが登場し、花村、大野を加えた8人で「カントリー・ロード」(映画『耳をすませば』主題歌)を熱唱。客席からは大歓声が上がった。

ももいろクローバーZ玉井詩織
玉井詩織(ももいろクローバーZ)

 黄色いサイリウムが会場のあちこちで光る中、ももいろクローバーZの玉井詩織は映画『風の谷のナウシカ』の同名テーマソングを披露。松本隆が作詞し、細野晴臣が作曲したこの難易度の高いメロディを、抑制の効いたアルトボイスで会場に届けた。さらに、再び登場した家入レオと共に「ひとりぼっちはやめた」(矢野顕子/映画『ホーホケキョ となりの山田くん』テーマ曲)をデュエット。2人が笑顔で見つめ合いながら歌う姿が印象的だった。

岸田繁(くるり)
岸田繁(くるり)

 ライブも終盤に差し掛かり、この日最後のゲストである岸田繁(くるり)が登場。武部によって、1960年代のバロックポップ調にアレンジされた「崖の上のポニョ」(同名映画主題歌)を、岸田と玉井が楽しそうにデュエットし、さらに映画『となりのトトロ』のオープニングテーマ「さんぽ」を、彼女たちに加えてLittle Glee Monster、家入、そしてWakanaの総勢10人で歌う。そして岸田が「となりのトトロ」を一人で歌い、一声聴けばそれとわかる、心地良くも胸掻き立てられる歌声に聴き惚れているうち本編は終了。アンコールはこの日の出演者全員で、映画『魔女の宅急便』のエンディングテーマに起用された荒井由実の「やさしさに包まれたなら」を歌った。

「このコンサートの最後に、『やさしさに包まれたなら』を歌うことは随分前から決めていました。50年前の曲ですが、この曲が持つメッセージはいつの時代にも心に響くものがある。今日、ここにいる素晴らしいアーティストたちの声が混ざることで、より強く伝わることを願っています」

 アンコール曲を演奏する前に、自身の思いをそう語った武部。この日のコンサートは、ジブリ作品や、その音楽の魅力を再発見するだけでなく、込められたメッセージの普遍性にも気づかされるような、そんな有意義なひとときだった。

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