“不死蝶”アニソンシンガー・和田光司が遺した歌声 国境も時代も超え『デジモン』と共に歩み続ける軌跡

 本日1月5日、『和田光司トリビュートライブ2025~不死蝶(バタフライ)よ永遠に~』が開催される。出演者は、TVアニメ『デジモンアドベンチャー』(フジテレビ系/以下、『デジモン』)の楽曲担当アーティストや声優陣、楽曲制作を手掛けたメンバーたちだ。

 『デジモン』が1999年3月7日に放送開始となり、2024年で25周年を迎えた。ストーリーの中で、子供たちがデジタルワールドでパートナーデジモンと出会った日=8月1日に、『デジモンアドベンチャー』25周年記念スペシャルPVが公開され、大きな反響を呼んだ。

和田光司「Butter-Fly」デジモンアドベンチャー 25周年記念スペシャルPV

 『デジモン』のアニメといえば、素晴らしい“『デジモン』ミュージック”の存在を忘れてはならない。『デジモン』ミュージックにとって、歴代の『デジモン』主題歌や挿入歌を担当し、闘病をしながらも二度の復活を遂げた“不死蝶(バタフライ)のアニソンシンガー”こと和田光司の存在が大きい。和田の楽曲の魅力は、掠れた歌声と何事も諦めない力強い勇気をくれるパワー。本稿では、今なお愛される彼の楽曲と『デジモン』の歴史を振り返っていきたい。

 和田の楽曲といえば、まず思い浮かぶのは『デジモン』のOPテーマ「Butter-Fly」だろう。かつて“選ばれし子供たち”であった主に現在30代の大人たちを中心に、誰もが知るアニソンの名曲として知られている。しかも、『デジモン』を知らない世代をも魅了し続けているのだ。

【公式】アニメ『デジモンアドベンチャー』OP映像:和田光司「Butter-Fly」/Digimon Adventure

 OPテーマとしてはもちろんのこと、「Butter-Fly」が心に刻まれている大きな要因のひとつが、最終話のラストシーンでの印象的な使用だろう。別れが辛くて姿を現さなかったパルモンが駆けつけ、ミミが手を振る瞬間、ミミの帽子が空に舞うと同時に和田の歌声が流れる演出は、何度観ても胸が熱くなる。25年の時を経た今では、聴くだけで元気になる、ワクワクする、切なくなるなど、様々な感情を呼び起こしてくれる楽曲となっているのではないだろうか。

映画『デジモンアドベンチャー tri. 第1章 「再会」』予告編

 「Butter-Fly」はその後、和田のデビュー10周年に「Butter-Fly 〜Strong Version〜」としてセルフカバー。また、高校生になった子供たちを描いた劇場版『デジモンアドベンチャー tri.』の主題歌「Butter-Fly ~tri.Version~」として新たにレコーディングされた。

 さらに、『デジモン』関連のイベントで歌われたほか、特に思い出深いのは2014年の『Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-』でのパフォーマンスだ。オレンジのサイリウムが広がる光の海の中、「Butter-Fly」を歌う和田の姿は多くの人々の記憶に焼きついているのではないだろうか。今もなお、YouTubeで世界中のファンに視聴され続けている。

Butter-Fly / 和田光司【Animelo Summer Live 2014 -ONENESS- Day1】

 さらに、「Butter-Fly」は現在も数多くのアーティストにカバーされ、25年経った今でもカラオケの定番曲としても、多くの人に歌われている。

 和田が“不死蝶のアニソンシンガー”と呼ばれることになったのは、病との闘いを経て、二度アーティストとして復活したことに由来する。2003年のTVアニメ『デジモンフロンティア』(フジテレビ系)終了後、闘病のため活動を休止。その後、2005年にアーティスト活動に復帰し、2006年のTVアニメ『デジモンセイバーズ』(フジテレビ系)の第2クールOP主題歌「ヒラリ」を担当し、作詞も手掛ける。以後は、CD制作やライブ活動を積極的に行っていたが、2011年に病が再発し、再び活動休止。闘病を経て、2013年11月に復帰ライブを行った。

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