岸田繁、玉井詩織、花村想太&大野雄大、リトグリ……特別なコラボも披露された『ジブリをうたう』コンサート
スタジオジブリの音楽を、様々なアーティストがカバーするトリビュートライブ『武部聡志プロデュース 「ジブリをうたう」 コンサート』が3月27日、東京国際フォーラム ホールAで開催された。
このコンサートは、キーボーディストやアレンジャーとして数多くのアーティストを手掛ける作編曲家/音楽プロデューサーの武部聡志が全面プロデュースした、スタジオジブリにとって初となるトリビュートアルバム『ジブリをうたう』のリリース(昨年11月)を記念して行われたもの。家入レオや岸田繁(くるり)、Little Glee Monsterなどアルバムにも参加した面々はもちろん、Da-iCEの花村想太と大野雄大のように、アルバムには参加しなかったものの、ジブリ作品やその音楽をこよなく愛するアーティスト、そしてオリジナルシンガーの手嶌葵らが一堂に介し、ここでしか見られないようなコラボレーションによるパフォーマンスを行った。
まずは『ジブリをうたう』の立役者でもある武部が登場し、カバーアルバムを作るに至った経緯などを説明。自身もこれまでに、ジブリ作品である『コクリコ坂から』と『アーヤと魔女』(いずれも監督は宮崎吾朗)の音楽を手がけてきた経歴があり、長く続いたコロナ禍で疲弊した人々が、元気を取り戻せる音楽の届け方を模索していく中で思いついたアイデアであったこと。実際に作ってみると、予想以上に素晴らしい作品になったこと。さらに、「せっかくだからライブでもやろう」と話がとんとん拍子に進んでいったことなどを明かした。
武部が「このコンサートは、『ジブリ愛』あふれるアーティストたちが、『ジブリ愛』あふれる皆さまと一緒に作るもの。どうか最後まで楽しんでいただき、会場を出る頃には『またジブリの作品が観たくなった』と思ってもらえたら最高です」と挨拶すると、客席からは温かい拍手が巻き起こった。
最初のゲストは家入レオ。宮崎裕介(Key)、須長和広(Ba)、河村“カースケ”智康(Dr)、遠山哲朗(Gt)、福原将宜(Gt)という名うてのプレイヤーたちに、武部もピアノで加わったスペシャルバンドによる演奏で「君をのせて」を披露。映画『天空の城ラピュタ』の主題歌を、トライバルなリズムや中南米の楽器の音色などをフィーチャーしたドラマティックなアンサンブルをバックに、伸びやかかつ透明感あふれる歌声で会場に響かせた。
その家入と共に、『千と千尋の神隠し』の主題歌「いつも何度でも」を歌うのはWakana。アルバム『ジブリをうたう』には収録されていなかった楽曲を、一夜限りのスペシャルデュエットで披露する。家入を見送った後は、Wakanaが一人で映画『もののけ姫』の同名主題歌を力強く歌いきった。
映画『ゲド戦記』の挿入歌「テルーの唄」と、映画『ハウルの動く城』の主題歌「世界の約束」を続けて歌ったのは、6人組ボーカルグループ Little Glee Monsterだ。メンバーそれぞれの持ち味を活かしつつ鉄壁のハーモニーを披露し会場をあたためた。
続いて登場した松尾レミ(Vo/Gt)、亀本寛貴(Gt)による2人組バンド GLIM SPANKYは、映画『風立ちぬ』の主題歌に起用された荒井由実の名曲「ひこうき雲」を披露。かねてから親交があり、2人が敬愛してやまないというユーミンの楽曲を心を込めて歌う松尾に大きな拍手が送られる。
続く「Don't Disturb Me」は、インドネシアで絶大な人気を誇るアーティスト、シェリナ・ムナフが歌う映画『アーヤと魔女』挿入歌だ。劇中に登場するバンド EARWIGの“もう一つの物語”としてリリースされた10曲入りのアルバム『アーヤと魔女 SONGBOOK ライムアベニュー13番地』にシシド・カフカややまもとひかると共に参加した松尾が、この曲をエモーショナルに歌い上げる。負けじと亀本もステージ前方に乗り出し超絶ソロを披露すると、客席からはひときわ大きな歓声が上がった。