Number_i&櫻坂46、両者のファンが示す“発信力” 独自のコミュニティが生み出す熱量を紐解く
株式会社USENが2024年3月からスタートした、誰でも参加できる楽曲投票サービス『USEN 推し活リクエスト』(以下、『推しリク』)において、Number_iと櫻坂46が上位を独占している状況が続いている。
『推しリク』は、無料のリクエスト楽曲投票サービスで、リアルタイムランキングや急上昇など、その都度話題となっている楽曲がランキングとして反映される。
近年はアイドルに限らず、様々な“推し活”そのものが10代からシニア世代まで幅広く浸透しており、それはSNSの普及と相まって爆発的に拡大している。そうした中で、自身の推しアーティストをもっと世間に知ってほしいという欲求を満たしてくれる『推しリク』は時代に即していると言えるだろう。
では、なぜNumber_iと櫻坂46の上位独占が続いているのだろうか。両グループともそれぞれのシーンで人気を誇るが、ここまで熱狂的な盛り上がりを見せているのは両者のファンの性質が関係していそうだ。
エモーショナルな楽曲の世界観と、芸術的なライブパフォーマンスで高い支持を集めている櫻坂46。今年は8thシングル『何歳の頃に戻りたいのか?』、9thシングル『自業自得』、10thシングル『I want tomorrow to come』の3枚のシングルをリリースし、11月に千葉・ZOZOマリンスタジアムにて開催された『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』では2日間で約7万2000人を動員。Buddies(ファンの呼称)の輪が確実に広がっていることを感じさせた。
櫻坂46は欅坂46時代から応援している根強いファンも多いが、近年は熱心なBuddiesの積極的なSNSの投稿やYouTubeチャンネルのシェアなどの影響もあり、最近ファンになった者が多い印象がある。振り返ってみれば、2021年には櫻坂46の1周年を記念して、海外のBuddiesが運営からの公認で集めた資金で、アメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアにある広告用デジタルディスプレイに櫻坂46の映像が流れたこともあった。もちろん、韓国で行われた音楽フェス『WONDERLIVET 2024』や香港最大の音楽フェス『Clockenflap Music & Art Festival 2024』などの海外進出に加えて、MVに字幕機能をつけて英語表示したり、海外向けにSNSを発信したり、海外チケットを導入したりと、海外に向けて動いてきたことは大きい。
そうした海外での動きに加えて、櫻坂46は国内のBuddiesがグループを押し上げるべく自主的にSNSを通して発信するなど、独自のファンダムが形成されている。“古参”と“新参”という言葉があるように、ファンダムの中でファン同士が壁を作ってしまうケースも少なくはないが、Buddiesは「活動を応援したい」という共通意識のもとで応援している印象を受ける。そうしたファン同士の密接なコミュニティが、同じグループを応援する空気感に繋がっているのではないかと、筆者は考えている。