高城れに「どんなことがあっても幸せでいる」マインド “初めて”のことからスタートした2024年

「去年、あんなに盛大に(結婚のお祝いを)やっていただいたのに申し訳ないなって思ってたんです! ほんとにほんとに全然泣くつもりなかったんだけど……」

 そうやって笑いながら涙を拭く高城れにに、「あんなにはっきり歌詞に〈バツイチだわ〉って入ってくることないもんね」とツッコミを入れる玉井詩織。これは、年越しカウントダウンイベント『第7回 ももいろ歌合戦2023→2024』に登場した氣志團が、高城をイジる歌詞へとアレンジした「喧嘩上等」演奏後のやりとりである。

 “日本の現役アイドル”が自身の離婚について自虐ネタを見せるのは、もしかするとあれが“初”だったのではないだろうか。ただその話題にみんなが遠慮せずに触れられたのも、そして明るく返せたのも、すべて高城だから成せること。そのやりとりを見て、2024年の高城の活動を応援したくなったのは筆者だけではないだろう。

高城れにの新たな一歩、単独主演舞台『最高の家出』が上演

 まさしく高城は2024年、新たな一歩を踏み出した。高城にとって初めての単独主演舞台『最高の家出』が、2月4日開幕の東京公演を皮切りに全国計6カ所で上演されている。

 
 
 
 
 
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 同作は、虚構の街・模造街を舞台に、結婚生活に疑問を感じて家を出た女性(高城)が、行く先々での出会いを通して自分の生き方を見つめ直していく物語。演出を手がけるのは、劇団 ロロの主宰である三浦直之。傑作舞台『父母姉僕弟君』(2012年)や人気シリーズ『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校』などを手掛けるほか、映画『ダンスナンバー 時をかける少女』(2013年)、東京カランコロンの「恋のマシンガン」(2014年)やサニーデイ・サービスの「卒業」(2018年)のMVまで制作している。いずれの作品も、ポップな視点、“ファンタジック”と称されるまばゆい演出、感情があふれる台詞を駆使して、人間の出会いや別れを描いている。筆者もロロの作品は好きでいくつか鑑賞しているが、いつも多様なときめきを与えてもらっている。

 
 
 
 
 
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 そんな三浦作品とあって“家出”や“結婚生活への疑問”という題材もマイナスな捉え方にはなっていない。同作の記者会見でも、高城は「“家出”ってネガティブな印象があると思いますが、決して逃げることが悪いわけではなくて、逃げた先で誰かと出会って、どんなことを感じてどんなものを持って帰れるか」と前向きな内容であると話していた(※1)。人生の分岐点を迎えたばかりの高城にとって、自分の“今”を重ねながら、心機一転の思いで役を演じることができているのではないだろうか。

高城れにのマインド「どんなことがあっても幸せでいよう」

 それにしても、涙を流してもそれ以上の笑いで包み込みこみ、アイドル業だけではなく俳優業にも邁進する高城の強さと明るさには頭が下がる(もちろん、私たちの見えないところでは落ち込んだことも多々あるだろう)。

 そんな高城が大切にしているマインドは、「どんなことがあっても幸せでいよう」である。書籍『Quick Japan vol.112』(2014年/太田出版)のインタビューで、高城は「私『幸せじゃない』って思っている人も、絶対に幸せなはずだと思うんですよ。幸せなことに気づいてないだけ」「自分もそれを味わってきたからわかるの。だから、それをどうにかして教えてあげたい」と語っていた。さらに「アイドルとは何か?」を追求するなかで、「“アイドル=笑顔”って、そういうことなんじゃないかなって」「歌って踊って笑顔を届ける、みたいなざっくりとした感じじゃなくて、ちゃんと内面的な部分もしっかりしていないと、本当のアイドルにはなれないと思う」とひとつの答えに辿り着いたという。

 高城は今、その時口にした言葉を、自分自身で噛み締めながら実践しているのではないだろうか。つまり、現在“アイドルの高城れに”が“素顔の高城れに”を幸せにするために笑顔で後押ししている。だから彼女は『ももいろ歌合戦』でも泣きながら、笑ったのだ。“アイドルの高城れに”と“素顔の高城れに”が同時に現れた瞬間であり、その場にいる全員を幸せにしようと懸命に頑張った。だからこそ『ももいろ歌合戦』史上に残る、印象的かつ素敵な場面となったのだった。

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