ももいろクローバーZ 玉井詩織、英語力にも反映 20代最後の集大成に繋がる継続の姿勢

 ももいろクローバーZの玉井詩織が1stソロアルバム『colorS』(カラーズ)を自身の誕生日である6月4日にリリースする。同作には、2023年に12カ月連続でソロ曲を発表したプロジェクト「SHIORI TAMAI 12Colors」の全配信曲ほか、新曲「Shape」やボーナストラック3曲も収録が予定されている。

 『colorS』のリリースは、玉井自身の集大成になるはず。一方、2023年の玉井の12カ月連続リリースチャレンジを見守ってあらためて感じさせられたのが、“何ごとも続けることの大切さ”である。

 アイドルに限らず、これはさまざまな人に言えることだが、仕事などで大きな企画をやり遂げた時や、定められていた目標をクリアした時は、その達成感から気持ちの糸が切れてしまいがちだ。ことアイドルシーンでも、たとえば大規模なプロジェクトやライブの終了をもって活動に一区切りをつけるグループもいたり、その後にグループから突然離脱したりするメンバーがいるのは決して珍しくないことだ。そう考えると玉井は、あまりに清々しい雰囲気でそれをやり抜き、2024年の活動へと突入していった。彼女のこのスマートさはいったいどういうところから来ているのだろうかと、不思議に思えるほどに。

 
 
 
 
 
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 さらに「SHIORI TAMAI 12Colors」では、毎月20日0時00分になるとハイクオリティかつバラエティに富んだ楽曲をきっちり届け、さらにそれを表現するためのビジュアルイメージなど世界観も作り込み続けてきた。そういうところも、玉井と彼女を支えるチームの“性格”を表していると感じた。

 そのなかで、たとえば昨年4月の発表曲「Eyes on me」で大人っぽいビジュアルイメージを漂わせたかと思えば、翌月「Spicy Girl」ではドールのようなキュートさを見せるなど、その“急転回”はある意味で凄まじいものがあったし、楽曲内容面でも、〈退屈だった この日々も/キミがいれば 違く思えた〉(9月発表曲「Sepia」より)や〈君がいるから/晴れ渡る空に 咲けるよ〉(6月発表曲「泣くな向日葵」より)と歌う玉井も、〈きみも 神様も いない〉〈秋は だれでもひとり〉(10月発表曲「宝石」より)と口にする玉井も、どちらの側面も「玉井詩織」という人物を成していると思わせるものだった。玉井の人間性のカラフルさに俄然興味が湧いた12カ月間でもあった。

 そのクリエイティビティと情熱に敬服させられるとともに、そういったことを強調せず「出来上がったものがすべて」というふうに出していく格好のよさ、「毎月20日0時00分」の“規則”が完壁に守られることのある種の美しさ、物事を続けることの素晴らしさ、さらにそれをゴールとせずにすぐ次のステージへ進んでいく推進力などには驚かされるばかりだ。

 そう考えると、玉井には“仕事人”という言葉がよく似合う。仕事、勉強など何かを頑張る人にとって玉井の“ちゃんとするスタイル”は、共感できるところが大きいのではないだろうか。「さすが玉井詩織」「やっぱり玉井詩織は信用できる」――そんな言葉をかけたくなってくる。

 玉井は2015年、『ももいろクローバーZ 桃神祭2015 エコパスタジアム大会』開催に際して行われたインタビューのなかで、メンバー間で「これからももクロはどうなっていきたいか」について話す機会があるかという質問に対し、「そういうことはあまり話さないですね。みんな、今を生きてるっていう感じがする。今までは未来に向かって生きてきたのが、国立競技場でのライブとか、いろいろな夢を叶えてきたからこそ、今は“今を生きる”ということに視点を置いている感じがします」と、それまでの気持ちと比較すると変化があると話していた(※1)。

 その発言の真意は、“長く活動を続けていくため”。玉井は「今の私たちは“次の目標はここでライブをします”という形ではなくて“女性グループとしてあり続ける”ということを目標に掲げているから。だから、女性グループとしてももクロを長く続けることに向かって今を生きている感じかなって思います」と語っていた。この考え方はまさに、「明確な目標を立てることで得られる達成感によって気持ちの糸が切れることを防ぐ」ということが当時からできていたのではないだろうか。

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