ホテル代高騰が「推し活」遠征にも影響 求められるのは負担を抑える“平日開催”の土台作り

ホテル代高騰が「推し活」遠征にも影響

「推し活」:アイドルやキャラクターなどの「推し」、いわゆるご贔屓を様々な形で応援する活動のこと。

 そんな「推し活」のメインイベントといえば、やはり「推しに会いに行く」ことではないでしょうか。二次元でも三次元でも推しに会えるイベントのために、多くのファンは日々の生活を乗り越えていると思います。

 社会人は収入を得るためにさまざまな課題に直面しながらも、仕事とひたすら向き合い続け、学生は人間関係や将来について考えながらも、学業に集中し、また、主婦や主夫の方々は、様々な状況において家事、育児、そして時には介護にも全力を注がなければなりません。

 本当に皆さん、偉い! 素晴らしい! どんなときも素敵!

 そして、私たちのそんな苦労や頑張りも「推し」に会えればヘッチャラさ!……と言いたいところですが、こんな話を耳にした方も多いのではないでしょうか。

「近年は物価高の影響もあり、ホテル代が高騰している」

 推し活を、遠征を、楽しくしたいだけの私たちになんて仕打ちなんだ! しかし、それはいわゆるヲタク(オタク)だけではなく、推される側のアーティストたちも同じ苦しみを抱えているようです。

 1990年代終わりから日本では、長らく物価は上昇していませんでした。 しかし、現在、新型コロナウイルスの感染拡大によりモノやサービスの提供が滞ったことや、 ロシアによるウクライナ侵攻により日本が輸入するモノの国際的な相場が大きく上昇したことなどにより物価が上昇。また、ひとくちに「物価高の影響」とまとめるには難しい、日本ならではの「ホテル代の高騰」理由もあります。

・コロナ禍で都内でも廃業や運営停止となったホテルがいくつかありもともとの客室数が減少している
・ホテル側の人手不足で7割から8割程度しか販売できない
・日本を訪れる外国人の増加やコロナ禍でなかなか東京に来ることができなかった地方からの東京への旅行需要
など(※2)。

 3つ目であげた観光客が向かう先こそ、まさに私たちの推し活遠征先である大都市が多いですよね。特にコンサート・ライブ・舞台などのイベントは観客動員数を増やさなければならないので、ホテル代が高くなりやすい土日祝開催であることも非常に多い。

平日開催にはメリットも

 「推し活」に励んでいる私たちにとって、果たして土日祝日の開催が本当に良いのでしょうか? そこで私なりに平日開催のメリットを考えてみました。

【ファン(利用者)として】
1.交通手段が確保しやすい
 土日祝日は人々が自由な時間を持ち、外出することが多くなるため、交通渋滞や公共交通機関の混雑が起こりやすい傾向があります。逆に、平日は通勤や通学の時間を除けば比較的スムーズに利用できます。

2.宿泊施設に安く宿泊できる
 平日のイベントは私達が安く宿泊できるだけでなく、宿泊施設の利用を増やすことができるので、双方にとって良い結果になります。

3.平日休みやシフト制の人・仕事帰りの人も行きやすい
 特定のターゲット層、例えば学生や自営業者、またはシフトに融通が利く方などにとって「平日に参加できる」特別感も味わえます。

4.観光地が空いている
 推しのために遠征をするとき、宿泊先と会場の行き来だけでは終わらない方も多いと思います。「普段行かない場所にきたんだし、せっかくなら観光地に行って楽しもう!」と観光したい方にとっても平日は比較的空いているため、予定も立てやすいです。

5.複数“推し”がいる人は推しに会える頻度があがる
 イベントが週末に集中していないため、ファンはより多くのアーティストやイベントに参加することができます。

 

【アーティスト(主催者)として】
1.競合が少ない
 週末よりも競合が少ないため、より多くの注目を集めることができます。

2.会場の空き
 平日は一般的に会場の予約が比較的容易であり、より好条件で契約できる可能性があります。また平日の会場利用は需要が低いため、割引交渉の余地もあるかもしれません。

3.イベント業界への貢献
 平日にイベントを開催することで、イベント業界全体の活性化に貢献し、週末だけでなく平日にもエンターテインメント体験の機会を提供することができます。

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