ハッシュタグ文化、Shazam、TikTok上のUGC……オーディションブームも後押し、アイドルの最新“推し活”事情
アイドルの活動にはファンの存在が欠かせない。それを一層印象づけたのは、やはりオーディション番組である。デビューを目指して企画に参加する候補生も、出演時はそのほとんどが一般人。そのため、視聴者にとっては仮に“推し“ができても、デビューが決まらなければ、その後を応援することが難しくなるという過酷なシステムなのだ。そのような経緯から、一部のファンが行う応援看板やSNS広告といった“推しの布教活動“は、当時大きな反響があった。さらに、番組放送時から話題性のあったオーディション番組から誕生したグループは、デビュー後もファンの応援がSNSを中心にかなり熱心であることがわかる。オーディション番組ブーム以前にも、投票によってファンの声を反映していたコンテンツとして、ファッション雑誌『ViVi』が定期的に企画する国宝級イケメンランキングや、アイドル雑誌「Myojo」で毎年開催されるJr.大賞などがある。日々進化する“推し活”は、拡散力の強いSNSの利用が前提であり、グループの人気の証だけでなく、ファンの団結力の強さが可視化できることも重要なようだ。
推しのグループがどれだけ人気かというのは、ミュージックビデオやストリーミングの再生回数、Twitterトレンドに載ったか否かという判断基準もそうだが、Billboardで毎週発表されるカテゴリー毎のランキングがわかりやすい。Billboardの総合チャートはCD売上やストリーミング数、ツイート数などの指標を分析して決定されるため、昨今では「Billboard1位」を目標に掲げるグループやファンも多くなってきた。中でも、Billboardのチャートインサイトで見ることができるTwitterランキングに関しては、アーティスト側から発信されたり、ファンの間で独自に盛り上がる “ハッシュタグ文化”が大きく関係している。ハッシュタグ文化は、ツイートの拡散力に期待されていることもそうだが、必然的にTwitterランキングの貢献にも繋がるからだ。いわば、ファンの人気が最も反映されるチャートとも言える同ランキングの上位には、やはりJO1やINI、BE:FIRSTといったオーディション番組出身グループが、どの週も安定して名を連ねている。ここでいい成績を収めることは、日頃元気を与えてくれる推しへのプレゼントとなり、ファンダムの強さを自他共に確認することもできるのだ。
また、こうした動きはSNSにとどまらず、Shazamにも及んでいる。Shazamは、流れている楽曲を瞬時に認識し、表示してくれる便利な音楽アプリだ。そのため、Shazamの検索回数が多いと、楽曲を通じてグループを認知した人が多いと言える。実際に、多く“Shazam”されたアーティストは、その話題だけでニュースにもなったりする。本来のアプリの使用目的とは異なるものの、Shazamを通じた推し活も、グループの評価やファン拡大に繋がり得るのである。つまり、かつてのように、CDの売上枚数のみが重視されるのではなく、日常で使うSNSや生活に近い場面でも存在感を示せることが、グループの人気を表す1つの評価軸となっていると言えるだろう。