Dannie May、最新EP『青写真』で手にした新たな武器 バンドと観客の熱量が交差した最新ワンマン
2月1日、Dannie Mayが東京・渋谷WWWにて『Dannie May ONEMAN LIVE 「青写真」』東京公演を開催した。新EP『青写真』を携え、1月の大阪公演に続いて行われた本公演は、最初から最後まで彼らの王国。セットリストすべての曲が観客に響き、常にフロアの空気が高揚し続けている。そんな無敵のライブを見せてくれた。
チケットはもちろんソールドアウト。満員のフロアにはグッズのTシャツやタオルを身に着けたファンがひしめき合っている。バチバチとストロボが瞬く中、怪しげなSEが流れ出し、段々とリズムが形作られていくと、それに合わせてフロアからはハンドクラップが沸き起こる。期待感に満ちた空気の中で、メンバーが登場すると、歓声があちこちから飛び交う。
肩慣らしをするように、各々が音を響かせる中、Yuno(Vo/Kantoku)が「さあ行こうか、準備はいいか東京!」と煽り、「3分半の反撃」からライブはスタート。この曲も含め、『青写真』は“東京”をテーマに制作されたEPだという。中でもこの曲は、東京という街で音楽を武器に戦う彼らからのメッセージソング。〈刺し違えて進もう〉〈肩のひとつくらいくれてやれ〉という決して穏やかではない言葉を、痛快なメロディに乗せて優しい表情で歌うメンバーの姿が印象的だ。着実に上がったテンションは、続く「笑わせらぁ」でさらに上昇。リズミカルに韻を踏みながら、強気に進み自由を手にする姿を描き出す。アグレッシブな2曲が終わると、間髪入れずに沸き起こる歓声。初っ端から熱いリアクションを返す観客に、マサ(Vo/Gt)も「いいね! 声出てんね!」と満足気な笑顔を見せる。
イントロから爆発力のある「玄ノ歌」が始まると、ステージもフロアも心を解き放ち踊りだす。疾走感あふれる「黄ノ歌」の後は、「ナイサイシンシャ」でチルな雰囲気に。田中タリラ(Vo/Key)の柔らかくも芯のある歌声と、Yunoの繊細なコーラスによるハーモニーが響き渡り、トリップしてしまいそうな心地よさに包まれる。ステージ後方のスクリーンには美しい虹色のライトが咲き、幻想的な空間を作り上げていた。
タイトルコールで息を飲む観客の姿も見られたのは、「針よ墜とせぬ、暮夜の息」。どこかノスタルジックで中毒性の高いフレーズで会場を飲み込んでいき、「灰々」でさらにディープな世界へと観客を誘う。「待ツ宵」では、マイクを掴んだYunoがステージ前方へと乗り出し、観客の目の前で存分にボーカルパフォーマンスを見せつける。曲の終盤では、マサと向かい合わせになって熱唱する場面も。
「If you イフユー」でさらに一歩深い世界へと踏み込んでいく。最初の一音で会場の空気がガラリと変わり、たっぷりとリバーブのかかった田中タリラの歌声と重たく響くドラムにより、観客はゆっくりと深海まで沈み込んでいくような感覚に襲われる。すさまじい没入感に浸る頭を目覚めさせたのは、「適切でいたい」のイントロで流れる「天国と地獄」のあのフレーズ。息つく間もない展開に、観客はステージにくぎ付けになる。瞳をキラキラと輝かせながら熱い歌声を届けるマサ、自由奔放なプレイで魅了する田中タリラ、全身でライブに没頭するYuno。全く違った魅力を持つ3人を見ていると、ライブはあっという間に進んでいってしまう。