カネヨリマサルが信じ続けた“魔法”は“音楽”だった 涙と笑顔あふれたワンマン、再会の約束を交わして

カネヨリマサルのワンマンライブツアー『わたし達の魔法を信じるツアー』の東京公演が、4月5日にZepp Shinjuku(TOKYO)で開催された。3月より大阪、広島、福岡、名古屋、仙台を巡り、残念ながら札幌公演は延期になってしまったものの、約1カ月間にわたって列島を駆け抜けてきた本ツアーも、この日をもってひとまず締めくくられる。桜の開花後も肌寒さが続いていた東京にようやく春らしい温暖な週末が訪れたこの日、新宿・歌舞伎町にはカネヨリマサルの“魔法を信じる”多くのファンが詰めかけた。
フロアを埋め尽くしたオーディエンスたちが高まる期待感を隠そうともせずにざわつく中、ふいに場内が暗転し、くるり「THANK YOU MY GIRL」が場内に爆音で響きわたる。それに合わせて舞台上にはメンバーが1人ずつ姿を現し、中央のお立ち台で客席に笑顔を振りまいてから所定の位置にスタンバイ。ちとせみな(Vo/Gt)がテレキャスターを、いしはらめい(Ba)がジャズマスターベースを抱え、ドラムセットに鎮座するもりもとさな(Dr)の前に集結して円陣を形成する。3人で合図を交わしたのち、おもむろにちとせがアルペジオを奏で始めると、「わたし達のジャーニー」で勢いよくライブは幕を開けた。


続けざまに「はしる、夜」「関係のない人」「君の恋人になれますように」と、これぞカネヨリマサルというべき疾走感とポップネスに満ちた青春パンクナンバーが矢継ぎ早に繰り出され、フロアのボルテージはみるみるうちに上昇。そんな客席を満足そうに見渡しながら、いしはらが「ツアーファイナル、めっちゃ楽しい日になるかなってみんなが期待してると思うんで、うちらはその期待を超えるライブを今日しようと思います!」と力強く告げたのち、小声で「伝説作ります……!」と付け加えて喝采を巻き起こした。



この日のステージ背面には巨大なスクリーンが設置され、ツアーロゴやバンドロゴ、演奏とシンクロするリリックなどをバックにパフォーマンスが繰り広げられた。楽曲によっては印象的な映像演出も施され、桜並木の下を自転車で走る少女のアニメーションやアブストラクトなビジュアル、エモーショナルなスナップの数々などによって楽曲の世界観を補強。リッチな視覚効果も交えながら、聴衆をカネヨリマサルワールドへどっぷりと浸らせていった。

「背中」の披露前には、もりもとが本ツアーを振り返りつつ「このツアーは前を向けるツアーにしたいなと思ってて。悔しいことがあると後ろ向きになっちゃったりすることもめっちゃあるけど、みんなにパワーをもらって前を向かせてもらうツアーになったなって」と述懐。その言葉を受けて「このMCをさ、各地で聞くわけ。何回聞いても『ああ、いいメンバーを持ったな』って思います」と目を細めるちとせは、「私は“私”を歌うつもりはないです。今日は“みんな”を歌うつもりです。背中を押すんじゃなくて、その背中のまま、心のままを歌えたら」と声を震わせながら語り、客席の温かな拍手を呼び込んだ。























