Dannie May、音楽と言葉に宿る確かな熱量 全身全霊の想い届けたサプライズワンマン
Dannie Mayが2023年10月26日、東京・渋谷WWWにて『Dannie May ONEMAN LIVE「SURPRISE」』を開催した。
本公演は、年内のワンマンライブを予定していなかったDannie Mayが急遽開催を決めたという、まさにタイトル通りのサプライズライブ。歓喜したファンの反響により、チケットは即日ソールドアウトとなった。テレビアニメ『ビックリメン』のオープニングテーマに新曲「コレクション」を書き下ろしするなど、Dannie Mayは今ノリに乗っているアーティストといっても過言ではないだろう。
渋谷WWWの階段を降りると、まず目に飛び込んできたのはファン有志によるバルーンスタンド。“SURPRISE FOR DANNIE MAY”という言葉と共に、ボードへ記載されていたQRコードを読み込むと、初めてDannie Mayの音楽を聴いたときの衝撃、メンバー一人一人の好きなところ、お気に入りの曲、Dannie Mayが毎日の励みになっていることなど、幼い子どもから親世代まで様々なファンによる応援メッセージ動画が流れる。これはファンからDannie Mayへの大きな愛がこもった逆サプライズだ。
満員のフロアの照明が消え、開演。SEはなく、ラフな雰囲気の中でYuno(Vo/Kantoku)、田中タリラ(Vo/Key)が登場。少しの沈黙で場の空気を整えると、「アサヤケ」でライブは静かに幕を開けた。柔らかく、あたたかなイントロが流れる中、マサ(Vo/Gt)が登場。ごく自然な仕草でマイクを手に取り、観客一人一人に語り掛けるように歌い始める。その表情はとても優しく満足げで、ステージに立ってライブをする喜びを噛みしめているようにも見えた。解放感溢れるサビでは、ステージ後方から明るい光が差し込み、希望溢れる美しい朝の情景を浮かび上がらせる。じんわりと込み上げる高揚に、オープニングにも関わらずクライマックスのような充実感すら覚えた。
そう思っていたのも束の間。ギターを構えたマサが、「今日はよろしく!」と勢いよく挨拶をしたのを合図に、アグレッシブでアッパーな「笑わせらぁ」へ突入。会場は一気に熱を帯び、爆発力の高いサビではいくつもの手がステージに伸ばされる。続く「黄ノ歌」でさらにボルテージは上昇。Yunoは観客を煽ったり飛び跳ねたりしながらテンションを上げ、マサは楽しそうな笑顔を浮かべながらパフォーマンスする。田中タリラはそんな二人を見守るように時折視線を合わせたり、熱狂するフロアを満足そうに眺めたりと、各々らしいやり方でライブを楽しんでいた。
MCで改めて即日ソールドアウトに対する感謝を述べつつ、さらに上を目指すという意気込みを表明。ポップな「Boom Boom Boom」でフロアを躍らせたかと思えば、ミドルテンポの「灰々」で少しダークな雰囲気を漂わせる。Yunoがマイクを手にステージ前方へ出て「ここWWWに、嫌な思い出とか置いていこうぜ!」と観客を煽りながら始まったのは、「もういいって」。田中タリラがタンバリンを叩き、マサはサポートドラマーの成瀬太智と笑い合い、ハンドクラップで盛り上がる観客にはミラーボールの光が降り注ぐ。ステージもフロアもハッピーな空気でいっぱいになった。キーボードのユニークなサウンドとYunoの力強い歌声が化学反応を起こす「待ツ宵」、3人が順番に物語を紡ぐように歌う極上のラブバラード「たぶん、80年」と、多彩な楽曲を次々と披露し、Dannie Mayらしさを存分に見せつける。
作曲者の田中タリラによる「ライブでも大事にしているダークなやつ」という前振りから「If you イフユー」が始まり、独特の緊張感が漂う。絶妙な間合いとバランスで配置された様々な音は、一音一音が強い存在感を放ち、ダークな世界の中へと観客を飲み込んでいく。その雰囲気のまま、「適切でいたい」へなだれ込む。徐々に激しさを増すライブの中で、観客はもちろん、ステージ上のメンバーもDannie Mayの音楽へとどっぷりとハマり、浸っているように見えた。続く「玄ノ歌」でその熱量は爆発。疾走感あふれるメロディと重厚なサウンドに合わせて、フロアからは一体感のあるハンドクラップが始まり、無数の拳が突き上げられた。
「手放しに夢を語るとか、強くなれとはいうものの、眠れない夜もあるよね。僕たちはそんな曲(を作ることも)も多いけど、そんなところも愛してもらえたらなと」とマサが語り掛けて始まったのは、「異郷の地に咲かせる花は」。大人になるにつれて薄れてしまった夢への情熱を取り戻そうと、自らを鼓舞するように歌い上げる。そして次に披露したのは、先述したアニメ『ビックリメン』のオープニングテーマでもある新曲「コレクション」。この曲は、呼び覚まされた夢に向かって真っ直ぐに走りだす、まさにアニメの主人公のような青春を感じさせられる爽やかなロックナンバー。WWWに集まった観客全員が拳を突き上げ、心を一つにして歌う光景は、あまりにも美しく感動的だった。