学生から社会人まで、社会課題や平和について英語で語り合う機会に 『One Young World Summit 2023』アミューズ参加者座談会
帰国後に起きた行動や意識の変化
——『One Young World』での経験は皆さんの人生において、かなり大きな出来事だと思います。現地に行ったことで、ご自身で変化したと思うことはありましたか?
SARM:最終日にメインステージで、アイルランドの若者たちが自分の戦争体験を話していたんです。命からがら戦場からアイルランドに逃げてきて、その体験をもとに今は支援をする・人を助ける活動をしているという話を聞いたときに、自分もやるべきことがあるんじゃないかと思いました。
実は『One Young World』に参加する前から、「小・中学生に特別道徳授業で歌を歌ってほしい、話をしてほしい」と言われていたんですが、その時は自分にできることが明確ではなかったので、行きたい気持ちはあっても遠慮していました。でも、ベルファストで衝撃を受けたことで「躊躇している場合じゃない」と思って。帰国後に「参加させてください」と伝えて、先日小学校の道徳授業に参加しました。自分が小学生の時に「こういう言葉をかけてくれる大人がいたらいいな」と思っていたことを、当時の自分に伝えるように小学生たちに話して、「自分の愛というものはどこにあるんだろう」という内容の歌を歌った後に、小学生たちに「愛は自分の中にあるし、そもそも持っているもの。自分を愛する勇気を持って、なおかつ隣にいる友達を愛する強さをぜひ持ってください」という話をしたら、真剣に感じ取ろうとしてくれて。そうやって、今まではできなかったことに踏み込む勇気が持てたという変化がありました。
——アーティストとしても大きな出来事だと思いますが、作品などにも還元されそうですか?
SARM:それもありますね。「愛と光を与える」というアーティストとしての根本的なことはもちろんずっと続けていきますが、もっと感覚的に広くなったというか、それまで目に見えていなかったことも感じ取れる機会がたくさんあったので……言葉にするのは難しいですが、もっとたくさんの人の視点で書いていけたらなと思います。今書いている歌詞にも、反映されている感じがしますね。
——南光さん、ベドーラさんはいかがですか?
南光:変化はいろいろありますが、一番は自信がついてモチベーションが上がったことが大きいと思います。『One Young World』では、普段は会わないような、190カ国以上の国から選ばれた、本気で社会を変えたいと思っている人たちが一つの場所に集まる。これだけで唯一無二の場所だし、そこに濃密に関わって、自分のアイデアや今やっていること、バックボーンを話して、それに対して感想やフィードバック、励ましの言葉、時には批判ももらったりしました。具体的に知識やスキルが身につくような経験をさせてもらって、その上で『One Young World』の期間中、レベルの高い話を英語でやり切ったことで自信がつきました。
それと、メンタルヘルスについてプレゼンテーションしていたマシュー・テイラーさんが、僕にとって今回のサミットの中でロールモデル的な発見・出会いでした。年齢も近く、学生時代からメンタルヘルス領域で活動して、ベルファストの行政に働きかけて、若者のメンタルヘルスを社会課題としての意識を上げて政策実現までさせて、自分たちの活動としても利益を出しながら持続可能なアクションを続けている。今はそのアカデミックな知識を増やすために大学院に進学されています。とても難しいだろうけど、同世代の方が実現している姿を見て、すごく刺激を受けましたし、自然とモチベーションが上がりました。
ベドーラ:私も自信がつきました。私は社会人になってアメリカから日本に来て、自分の母国じゃない国に住むことによって自信をなくすこともありましたが、『One Young World』で自分の体験を話したら、「あなたはすごい!」とか「がんばってるね!」と励ます言葉をくれて、もっと自信を持っていいと思えました。ひとりでも何かを変えることができるし、せっかくアミューズという日本のモノづくり・エンターテインメントに関わる会社にいるからこそ、自分の周りにいる人たちと一緒に何かいいものを作ることができるという自信が出てきました。
最近、好きなYouTuberの「影響力を持つより、いいモノを作る方がいいんじゃない?」という言葉を聞いて『One Young World』を思い出したんです。『One Young World』に参加していたのは、自分はすごいんだ、というよりも、純粋にいいことをしたい・いいモノを作りたいという人たちばかりだったので、もっとそういうマインドになりたいと思いました。アミューズはアーティストはもちろん、社員もいろいろと新しいことに取り組める会社なので、もっといいモノを作るチャンスがあると思って、今は社員やアーティストのメンタルヘルスをサポートする企画を考え始めています。現代ではメンタルヘルスという言葉に偏見を持つ人が多いかもしれませんが、皆の健康を表す言葉です。もっと勉強できる機会を作っていけたらと思います。
——では最後に、アミューズの『One Young World』に対する取り組みに興味を持たれた方に、参加した“先輩”としてメッセージや伝えたいことはありますか?
南光:壮行会などを通じてこれまでアミューズから派遣された歴代OB・OGの方々と繋がる機会があったのは、すごく独自なことだなと思っています。OB・OGの方のお話からの学びもたくさんあったので、そこはアミューズの一般公募で参加したからこそ得られたものなのかなと思います。受かるか受からないかではなくて、まず応募することが大事。自信がなくても応募してみたら受かったということもあるだろうし、逆に受からなかったら自分を見つめなおすきっかけにもなると思います。実際に参加できたら、想定していた学びはもちろん、想定していなかった気づきも得られるはずなので、ぜひ応募してほしいです。
SARM:思いついたときになんでも行動してみたら、自分の人生の世界観が広がると思います。自分もそうやって世界が広がった一人なので、ぜひ!
ベドーラ:昔フランス人の留学生から聞いた言葉なんですけど、「If you don't ask, the answer is always “No”.」、何も聞かないと答えはいつもノー。積極的にやっていく、聞いていくことで、充実した人生になると思います。