学生から社会人まで、社会課題や平和について英語で語り合う機会に 『One Young World Summit 2023』アミューズ参加者座談会

『OYW 2023』参加者座談会

 2023年10月2日から5日までの4日間、北アイルランド・ベルファストで行われた『One Young World Summit 2023』。“ヤングダボス会議”とも呼ばれ、世界190カ国以上から2000人を超える18歳から30歳の次世代のリーダーたちが集う地球規模の国際プラットフォームだ。総合エンターテインメント企業・アミューズは2015年から『One Young World』に参加。所属アーティストや社員の派遣に加え、一般公募によって参加者を募り、支援と派遣を行っている。今年は一般公募の2名を含む6名が派遣された。帰国後の11月初旬にはアミューズ本社で社内報告会が行われ、それぞれが持ち帰った学びや気づき、自身のアイデアや考えを交えて発表。その様子は会場だけでなく、全社に配信でもシェアされた。

 リアルサウンドでは出発前に行われた壮行会の取材に続き、今回はシンガーソングライター・SARMさん、アミューズ社員でSARMのマネージャーを務めるベドーラ・レイチェルさん、一般公募から選出された大学生・南光開斗さんの3名にインタビュー。『One Young World』での実際の体験を踏まえ、充実の日々をどう過ごしたのか、大きな体験を経た現在の心境などを語ってもらった。インタビューには社内事務局の担当も務める、今年の参加者であるアミューズ社員・斎藤芽衣さんも同席、途中話を聞くことができた。(草野英絵)

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現地で感じた参加者の熱

『One Young World Summit 2023』
『One Young World Summit 2023』の模様

——社内報告会の様子を映像で拝見しました。みなさんにとってとても大きな体験だったことが画面越しにも伝わってきたのですが、出発前、事前に準備したことやアミューズを代表していく上で意識したことはあったのでしょうか? 

SARM:最初の会長(大里洋吉氏)との面談の時に「そもそも一人の人間としてサミットに行く上で大事なことは、直接現地で自分と違う考えを持っている人たちと話して、自分で吸収していくことだ」とおっしゃっていたので、そういう気持ちで行かせてもらいました。「一人の人間として、人類に何かできるかな?」という感覚でした。

 英語で話すことをいろいろ用意してはいましたが、行ったことのない国ですし、いろいろ想定していないことも起こるんだろうなと思っていたので、とにかく心の準備だけをしていました。視野を広げるために、勢いとガッツを用意した感じです。それから、QRコードを読み込むと私の音楽を聴けるステッカーを名刺代わりとして準備して持っていきました。

南光開斗(以下、南光):参加の目的の一つとして、自身がやっている福祉関連のプロジェクトについて発信したい、仲間を集めたいと思っていたので、プロジェクトを簡潔にまとめて伝えられるように整理して、言語化するようにしていました。

 また、僕は一般枠で参加したので「アミューズという会社は、どういう目的で君を派遣しているの?」と聞かれることが度々あったのでその答えと、一般枠として選んでいただいていることに対してどう思っているのか、というのは英語で話せるように整理していきました。日本ではそもそも一般公募をして参加者を派遣している会社がほとんどないんです。社会貢献的な事業にエンタメ企業が取り組むことは、社会にとっていいインパクトを生み出す例になるし、大きな意義があることだと思うので、現地ではそういった説明をしていました。

斎藤:南光さんが言う通り、スカラシップ制度を設けている日本企業はほぼない状況だったので、私は他の企業がどういう想いで社員の方を派遣されているのかを知りたいと思っていました。その上で、自分たちはエンタメ企業として、社会課題に対して関心をもって変えていかないといけないという想いをもって参加していることは伝えつつ、どういう想いで来ているのか、意見交換をしたいと思っていました。日本企業同士でのつながりも作っていけたらいいなと強く思いました。

ベドーラ:サミットへの参加を通じて、日本が母国ではない自分が、日本のエンターテインメントの会社で働いているチャンス・メリットに気づきました。現地でジョージア国出身で日本のアニメが大好きな方に出会ったのですが、アーティストマネージメントの仕事についても知識があって、アニメを通じて日本の文化のことをすごくよく知っていました。日本のエンターテインメントの影響力が大きいことを改めて体感して、私ももっと世界へ発信し続けたいと思いました。

 それと、私はせっかくベルファストという町を訪れるので、現地の歴史・文化を知るために映画『ベルファスト』を観ました。ベルファスト市内の紛争・宗教による戦争について学ぶことができ、ベルファスト出身の方々とも深く話せたので、準備してよかったと思いました。

ベドーラ・レイチェル
ベドーラ・レイチェルさん

——準備をして行って、実際に現地で役に立ったことや、逆に思っていたことと違ったことはありましたか?

SARM:勢いとガッツを自分の心の中に準備はしていたんですけど、開会式でヨルダンのラーニア王妃が出てきたときに、会場の空気を一気に変えるくらいの存在感だったんですよね。「この人が何か大事なことを言う」と感じ翻訳機を駆使して聞いて。「私たちの人生という時間の中でやっていかなければならないことがたくさんあり、時間がありません。今日ここにいるあなたたち若い世代の一人ひとりのやっていけることが明らかになることを願っています」と話していたんです。自分のサミットに向き合う姿勢が一変させられた。視野を広げるだけじゃない、世界の中に入り込んで探究して、もっと重大なことをわかっていかなければいけないんだ、と参加する意識が変わりましたね。

南光:想像していたよりも熱を感じました。知らない人に話しかけるのは勇気がいることですが、行く前に「どれだけ怖くてもはずかしくても、できる限り話しかけよう」と自分の中で決めていたんです。でも、実際に行ってみると、「話しかけなきゃ損だ」というくらいの雰囲気を感じて。みんなめちゃくちゃ話しかけてくれるし、聞こうとしてくれるし、話が盛り上がる流れが生まれていて、すごく話しやすかったです。

ベドーラ:思っていたのと違ったのは、本当にたくさんの多様性があったことです。一般企業の会社員が多いのかと思いきや、奨学金で来ているボランティアもたくさんいたり、みんな自分のミッションを達成しようとしている人たちばかりでした。例えば、貧困問題を多く抱える国の人が金融の知識を自分の国で教えたり、直接難民と仕事をしている人や仕事をしながらボランティアでNPOに関わっている人など、世界を良くしよう、問題を解決しようと一生懸命頑張っている人たちが多いことには、いい意味で驚きましたね。

ベドーラ・レイチェル、SARM、南光開斗

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