アミューズが「One Young World Summit」に参加する意義 渡航者インタビュー&壮行会から紐解く
総合エンターテインメント事業を展開する株式会社アミューズ。同社はこれまで、「感動だけが、人の心を撃ち抜ける」という想いのもと、アーティストマネージメントを主軸に、さまざまなエンターテインメントを届けてきた。
そんなアミューズは、かねてから力を入れてきた社会貢献活動を背景に、次世代リーダーの育成と国際交流を目的とした地球規模のサミット「One Young World Summit(以下、OYW)」に2015年から参加し続けている。所属アーティストや社員の派遣、日本からの参加者に対する支援などを行う同社は、どのような想いで「OYW」に参加し、その経験をエンターテインメントの世界へと結びつけているのだろうか。
2022年の「OYW」に参加したモデルやタレントとして活動するシャラ ラジマさんと、アミューズの「OYW」への参加を2017年から支えてきた株式会社アミューズ 経営企画部 執行役員の鈴木啓太さんへの対談企画に続き、今回はアミューズ本社で行われた2023年の「OYW」渡航者の壮行会に潜入。アミューズから派遣する2023年の「OYW」渡航者へのインタビューを通して、アミューズが「OYW」に参加する意義について迫りたい。(編集部)
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それぞれが「OYW」に参加する理由
「One Young World Summit」は、 “ヤング・ダボス会議”とも呼ばれ、世界190カ国以上から18歳から30歳を中心とした2000人を超える人々が参加する地球規模の国際プラットフォームである。スピーチやパネルディスカッション、ワークショップなどあらゆるプログラムを通じてコミュニケーションを取ることで、世界のあらゆる困難や問題の解決に導くためのネットワークを構築する一端を担っている。
社員・所属アーティストに加え、2022年からは「OYW」へ派遣する参加者を一般公募でも募り、渡航にあたっての全面支援を行っているアミューズ。今年も10月2日から5日にかけて北アイルランドで行われる「OYW」に向け、社員・アーティスト・一般公募より選出された計6名の参加が決定した。
所属アーティストからは、 “愛”をテーマにした音楽を歌うシンガーソングライターのSARMさんが参加。アミューズ社員からはSARMさんのマネージャーでもあるアメリカ生まれ・アメリカ育ちのベドーラ・レイチェルさん、アミューズ内の「OYW」事務局の運営に携わる斎藤芽衣さん、今年入社した新入社員・藤﨑愉奈さんが参加する。ここに、一般公募で選ばれたアメリカ人の父と日本人の母を持つコーリア留奈さん、法政大学現代福祉学部に通う大学一年生の南光開斗さんを加えた計6名が渡航予定だ。
ベドーラさんは気候変動の問題や、日本ではまだ馴染みの薄いベジタリアン・ヴィーガンという文化を他国ではどう広めているのかが知りたいそう。事務局メンバーの斎藤さんは、今年のメインテーマである“メンタルヘルス”と“教育”の知見を広げることを目標にし、「事務局メンバーとして、どうしたら社内・社外にアミューズが『OYW』に参加していることや、『OYW』そのものの魅力を伝えられるのかを、サミットの中で見つけていきたい」とも語ってくれた。韓国の大学に通い、半年間ヨーロッパの各国をまわった経験がある藤﨑さんも、やはりメンタルヘルスの問題に興味を持っている。「日本で仕事をしている中で、自分がいかに心豊かに仕事をして幸せに過ごすか、コミュニケーションの中で幸せを分け与えられるか……難しい課題だと思うのですが、一人ひとりが幸せだと思える繋ぎとなり、一味違う工夫ができるようになれたら」と力強くコメントした。同じくSARMさんの興味もメンタルヘルスにある。「多くのアスリートと同じく、アーティストにもメンタルコーチが必要だと思う。社会で働く人たちの中にも学校の中にも、人間が社会でもっと気楽にいられる考え方をたくさん知るために、メンタルをコーチングする考え方を身に着ける機会があればと思っています」。
一般参加となるコーリアさんは二度目のチャレンジで今回の参加が叶った。日本は暮らしやすいけれど生きづらく感じるときもある、と語る彼女。タイへの留学経験を振り返り、「先進国と違い、まず今日を生きることに必死な人たちがいる。でも、海外の問題に目を向ければ向けるほど、実は日本にも同じように問題がたくさんあるとわかります。若者の貧困、20代30代の自殺率の高さ、男女の雇用など……。自分自身の国を変えるためにはどうしたらいいんだろうと考えたときに、海外の方々と直接話すことが自分にとって一番大切だと思ったんです」と話す。ヤングケアラーとして生活し、自身も起立性調節障害に悩んだ南光さんは、「将来は直接的に社会課題を解決する働き方をしたいと思い、自然と『OYW』のことを知りました。世界の人たちがどのような生活課題を抱えているのか、またどのような資源を使って解決しているのかを知りたい」とまっすぐに語ってくれた。
一人ひとりの問題から地球規模の課題と、扱うテーマの範囲も幅広い。彼らへの取材を通じて、それぞれが感じている社会問題や、持っているアイデア、それぞれ違う職業や立場からの視点など、フランクに熱く語り合える関係性が構築されつつあることがうかがえた。