米津玄師、松任谷由実、藤井 風、Vaundy、XG……「紅白出ない」話題のアーティスト 追加の可能性は?

 大晦日に放送される『第74回NHK紅白歌合戦』に出場するアーティストが発表された。今年は初出場が13組と大きく入れ替わりを見せ、全体的に新鮮な顔ぶれが揃った。とりわけ白組は、10-FEETやMAN WITH A MISSIONといったロックバンドが複数選出されたことによって、新しく生まれ変わった印象が強い。また多数のK-POPグループのほか、Adoやano、すとぷりといった選出からは、近年の『紅白』が課題としている若年層への配慮が見て取れる。逆に元キャンディーズの伊藤蘭の選出は『紅白』らしい人選だ。こうした幅広い世代が一堂に会するステージを期待したい。

米津玄師、藤井 風、Vaundy……テーマ「ボーダレス」を象徴するアーティスト

 さて毎年のことではあるが、この発表を受けてSNSなどでは、“出ない組”に関する投稿で盛り上がった。特に多かったのはシンガーソングライターのVaundyだ。昨年『紅白』初出場を果たしたVaundyは、アリーナツアーの開催をはじめ、ドラマや映画の主題歌など数多くのタイアップを担当し、今年も存在感のある活動を展開していたため出場してもおかしくはない。発表した楽曲はどれも好調で、これまでに計13曲がストリーミング累計再生数1億回を突破。これはアーティスト別で歴代2位の記録だという(※1)。それだけ大活躍の年だったため、今後の追加発表を待ちたいところだ。

そんなbitterな話 / Vaundy:MUSIC VIDEO

 こうした“意外”なアーティストは少なくない。というのも、今年の『紅白』のテーマは「ボーダレス」と発表されており、今年の音楽シーンにはそのテーマに合致するアーティストがまだまだ存在するからだ。

 たとえば、テレビアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京他)のオープニングテーマとなった米津玄師の「KICK BACK」は、今年アメリカレコード協会(RIAA)によりゴールド認定を受けた。日本語詞の楽曲がゴールド認定を受けるのは史上初。これはまさしく「ボーダレス」を象徴する出来事である。また、今年公開されたスタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』の主題歌も米津が担当していた。

Kenshi Yonezu - KICK BACK(Live with Daiki Tsuneta)"Chainsaw Man" OP

 米津は、2018年に初出場した際に自身の地元でもある徳島県の大塚国際美術館で歌った「Lemon」のイメージがいまだに強い(そもそもテレビ歌唱自体がこの日くらいしかない)。だが、ここで「KICK BACK」を歌えば自身のイメージを刷新する新たな機会となるのではないか。同曲の編曲に加わり、MVにも出演したKing Gnuの常田大希が友情出演しようものなら、近年の『紅白』史に残る名シーンとなるだろう。King GnuはVaundyと並んで出場を熱望するファンの声が強かった。現在の日本の音楽シーンを盛り上げる面々による、『紅白』ならではの特別なステージを期待したい。

 「ボーダレス」という点では藤井 風もそうだ。海外リスナーが増加し、今年自身初となるアジアツアーを開催。楽曲制作には海外のプロデューサーを起用するなど、国境を越える活動が目立った。また、沖縄が開催地のひとつとなった『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』における日本代表の躍進の裏には、テレビ中継の際のテーマソングとなった彼の楽曲「Workin' Hard」があった。バスケットボール繋がりで、アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』などと絡めた企画ステージの一環として登場する可能性もあるかもしれない。

Fujii Kaze - Workin’ Hard(Official Video)

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