ロジャー・ウォーターズ、アルバム『The Dark Side of the Moon Redux』リリース Pink Floydの名盤を再解釈

ロジャー・ウォーターズ、Pink Floydの名盤を再解釈

 ロジャー・ウォーターズが、10月6日にアルバム『The Dark Side of the Moon Redux』をリリースする。

 Pink Floydによる史上最も著名かつ最も高い評価を受けたアルバムの1枚である『The Dark Side of the Moon(邦題:狂気)』。オリジナル作品のリリースから50年が経った本作を、ロジャーが途方もない野心を持って再解釈したアルバムとなる。

 同アルバムからは9月21日に、2曲入りのシングル『SPEAK TO ME/BREATHE(生命の息吹き)』がリリースされた。これは、すでにリリックビデオと共に公開されている「MONEY」と「TIME」に続く、3rdシングルにあたる。

Introducing The Dark Side Of The Moon Redux by Roger Waters

 ロジャーがまだ29歳だったとき、彼をメンバーに擁するPink Floydがレコーディングした『The Dark Side of the Moon』は、人間としての体験、時間の経過、そして狂気への転落について多元的に思索する壮大な作品。アルバムの冒頭で聞こえる「老年期を生きる人間の記憶――それは絶頂期を生きる人間の行ないである」という言葉が予告する通り、『The Dark Side of the Moon Redux』でのロジャーは、50年間の空白を飛び越え、彼自身の人生体験や哲学、年齢を重ねることで培った叡知をもとに新たな視点に立ち、オリジナル作品が包含していた哲学的、社会的、政治的なテーマをさらに強調しながら、自らの創作物に再解釈を施し、肉付けをしている。

 ロジャーの並外れたボーカルパフォーマンスは、今や古典と化した彼の歌詞の深遠さにこれまでになかった層を加え、同時に、新たに誕生したこの哲学的な創作物に、ざらついた感触の叡知を付与している。ロジャーとガス・サイファートによるプロダクションは同作を、Pink Floydのサイケデリックなオーケストレーションを削ぎ落し、より生々しく、よりデリケートで、それでいて同等に実験的な独創性に富み、精巧なテクスチュアを備え、音楽的な間テクスト性に溢れた作品に仕上げたという。

 ロジャーはアルバムについて、「『The Dark Side of the Moon』はある意味で、人間の在り方に対する、ひとりの年配者の嘆きだったように感じられる。しかし、あのアルバムを作った時のデイヴ(デヴィッド・ギルモア)とリック(リチャード・ライト)とニック(・メイソン)と私はあまりにも若くて、現在の我々を取り巻く世界を見渡してみると、アルバムのメッセージが定着しなかったことは明白だ。それゆえに私は、果たして80歳の人間が持つ叡知が再考バージョンに何をもたらし得るのかと、考え始めたのである。
『The Dark Side of the Moon』を改めてレコーディングするアイデアをガスとショーン(・エヴァンス)に最初に話したとき、私の頭がおかしくなってしまったのだと誰もが思ったものだが、検討すればするほどに、“まさにそこが重要なのではないのか?”という想いを強くした。
我々が作り上げた作品に、私は大きな誇りを抱いている。全く遜色なく、半世紀の年月を越えて、オリジナル盤と手を取り合って堂々と立っているこの作品を」とコメントしている。

 ロジャーはまた、7月に公開されたアルバムの紹介映像『Introducing The Dark Side of the Moon Redux by Roger Waters』の中で、「私が思うに新しいヴァージョンはより内省的で、アルバムのコンセプトをより明確に示している」とも語っている。

 また、「なぜリメイクを思い立ったのか? 今年はオリジナル作品のリリース50周年であり、このアルバムには再考の価値があり、再訪することが可能だと考えたからだ。メッセージもコンセプトも、時代が変わっても古びていない。それは改めて表現されるべき、非常に重要なメッセージとコンセプトであり、異なるヴァージョンを作ることが、オリジナル盤が50年間生き延びたという事実のセレブレーションに相応しいと感じた。オリジナル盤の座を奪おうとか、置き換えようとは考えていない。私が望んだのはあのアルバムを記憶に刻むことであり、付加的な作品を作ることであり、同時に、オリジナル盤のコンセプトと楽曲で達成したことを進化させたかったのだ」とも語っている。

■リリース情報
『The Dark Side of the Moon Redux』
2023年10月6日リリース
配信リンク:https://rwaters.lnk.to/DSOTMredux_

<トラックリスト>
SPEAK TO ME(オリジナル盤の邦題:スピーク・トゥ・ミー)
BREATHE(生命の息吹き)
ON THE RUN(走り回って)
TIME(タイム)
THE GREAT GIG IN THE SKY(虚空のスキャット)MONEY(マネー)
US AND THEM(アス・アンド・ゼム)
ANY COLOUR YOU LIKE(望みの色を)
BRAIN DAMAGE(狂人は心に)
ECLIPSE(狂気日食)

<クレジット>
ロジャー・ウォーターズ:ヴォーカル、ベース(「ANY COLOUR YOU LIKE」)、VSC3
ガス・サイファート:ベース、ギター、パーカッション、キーボード、シンセサイザー、バッキング・ヴォーカル
ジョーイ・ワロンカー:ドラムス、パーカッション
ジョナサン・ウィルソン:ギター、シンセサイザー、オルガン
ジョニー・シェパード:オルガン、ピアノ
ヴィア・マードー:テレミン
アズニヴ・コーケジアン:ヴォーカル
ゲイブ・ノエル:ストリング・アレンジメント、ストリングス、サランギ
ジョン・キャリン:キーボード、ラップ・スティール、シンセサイザー、オルガン
ロバート・ウォルター:ピアノ(「THE GREAT GIG IN THE SKY」)
プロデュース――ロジャー・ウォーターズ、ガス・サイファート
アート・ディレクション及びデザイン――ショーン・エヴァンス
写真――ケイト・アイザー

■関連リンク
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