Official髭男dism、くるり、back number、LE SSERAFIM、満島ひかり、XG……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はOfficial髭男dism「Chessboard」、くるり「California coconuts」、back number「怪獣のサイズ」、LE SSERAFIM「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers, Ado) -Japanese ver.-」、満島ひかり「Shadow Dance(Prod. MONDO GROSSO)」、XG「TGIF」の6作品をピックアップした。(編集部)

Official髭男dism「Chessboard」

 第90回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲として制作された「Chessboard」は、すでに巨大なポピュラリティを得ているOfficial髭男dismが、国民的バンドへと進み始める最初の一歩となるだろう。楽曲の冒頭を飾るのは、きらびやかにして鋭いギターフレーズ。次の瞬間〈チェスボードみたいなこの世界へ僕らは ルールもないままに生まれてきた〉というラインによって、楽曲に込められたメッセージは芽吹き始める。藤原聡(Vo/Pf)は同楽曲について「さまざまな価値観の人がこの世界という馬鹿でかいチェスボードの盤上で生きているということが、ただただすばらしく、愛おしいという思いもこもっています」(※1)と語っているように、「Chessboard」には壮大にして普遍的なテーマが根付いている。繊細さとダイナミズムを同時に感じさせるメロディライン、セクションごとに場面が変わっていく、まるで組曲のような構成も圧巻だ。(森)

くるり「California coconuts」

California coconuts

 オリジナルメンバーの岸田繁(Vo/Gt)、佐藤征史(Ba)、森信行(Dr)が伊豆に集まって制作した14thアルバム『感覚は道標』(10月4日リリース)。「In Your Life」に続く先行配信第2弾「California coconuts」は、素朴な手触りのメロディ、長い人生の機微を叙情豊かに描いた歌詞が心に残るミディアムチューンだ。まるで夢のように美しく、穏やかな南の国の情景を想起しながら、人生の終わりが近づいていることを予感しつつ、それでも朝日が昇ることの素晴らしさに身をゆだねる。さらに奥深さを増した岸田のソングライティング、簡素なバンドサウンドにオルガン、マンドリン、ビブラフォンなどが色を加えるアレンジも絶品。聴き返すたびに豊かさが増していく、さりげない名曲だと思う。(森)

back number「怪獣のサイズ」

back number - 怪獣のサイズ

 〈ああ そりゃまぁそうだな 僕じゃないよな〉と、選ばれない自分をしょんぼり笑う清水依与吏節が最初から全開。アルバム『ユーモア』から約半年ぶりのリリースとなるシングルで、編曲とプロデュースは小林武史が担当。曲自体は軽やかなシャッフル調のロックンロール、3分半でスカッと終わるものだが、ゴージャスなストリングスや鍵盤が散りばめられることで聴き応えがぐっと増し、押しも押されぬ王道のJ-POPに仕上がった。「怪獣」というのはワガママに強引に恋の道を突き進みたかった己のエゴのこと。嫌われたくなくて何もできなかった。いい人ぶっているうちに攫われてしまった。それだけのストーリーで、毎度これだけの名曲を量産できる才能よ。(石井)

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