NewJeans、新人では異例のストリーミング再生数1億回超え連発 他とは異なるレトロ路線で獲得したオンリーワンのポジション

 さらにこのグループのスタイルがユニークなのは、どの曲にも“サウダージ”がうっすらと滲んでいる点だ。一聴して分かる通り、彼女たちの歌は明るいようでいて、なんとなく寂しくもあり切なさもある。サウダージとはポルトガル語で郷愁、憧れ、思慕といったものを指す。日本では“わびさび”に近いかもしれないこの感情は、ボサノバに欠かせない要素として知られている。

 NewJeansの仕掛け人であり、彼女たちが所属するHYBE傘下レーベル「ADOR」代表のミン・ヒジンは、過去のインタビューで「気だるい音が好きだ」と答えており、その一例としてブラジリアンサウンド、具体的にはボサノバの巨匠であるアントニオ・カルロス・ジョビンの作品をあげている。そうした自身の好みをダイレクトに反映させることはおそらくないだろうが、少なくとも楽曲の良し悪しをジャッジする基準にはなっていそうだ。

 以上のようにNewJeansの一連のオリジナルナンバーは、ここ数年のトレンドであるレトロに乗りながらも、他とは異なるテイストを追求している。ピッチャーがボールすれすれのストライクを狙って投げるような感じと言ったらよいのか、とにかくそうした確信犯的な姿勢が世界各国の音楽ファンに喜ばれているのは間違いないと思う。

 NewJeansの曲のSpotifyにおける国別再生ランキングを見ると、韓国、日本、アメリカといった想定内の国のほかに、インドネシアやフィリピン、タイなどでも熱心に聴かれていることが分かる。こうしたリスナー層の広がりがある限り、“ボールすれすれのストライク”路線はまだまだ続くだろう。そしてワールドワイドな人気が決定的になったとき、新たにどう展開していくのか――。7月7日に控えるカムバック、その後にリリースされる2nd EP『Get Up』におけるミン・ヒジンの次の一手が気になって仕方がない。

※1:https://circlechart.kr/page_chart/onoff.circle?serviceGbn=ALL&termGbn=week

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