NewJeans、新人では異例のストリーミング再生数1億回超え連発 他とは異なるレトロ路線で獲得したオンリーワンのポジション

 韓国発の女性5人組・NewJeansの勢いはどこまで加速するのだろうか。彼女たちは昨年夏のデビューから1年も経っていないにもかかわらず、K-POPシーンを代表する存在になった。とはいえ、今までにリリースした曲はわずか7曲。そのほとんどが国内外でヒットを記録しているが、チャートでここまで長く上位に居座り続けるのは異例中の異例である。

 浮き沈みが激しいとよく言われるK-POPだが、最近は(G)I-DLEやZICO、IUといったアーティストの曲がロングランで人気を集める現象が多々あり、長期のランキング入り自体はさほどめずらしくはない。しかしながらNewJeansの場合は、数カ月前に出した複数の楽曲がいまだにランキング上位に入っているのだ。

 韓国で権威のあるチャート「CIRCLE CHART」のデジタルチャート(2023年6月11日~17日集計)を見てみよう。トップ200入りを果たした彼女たちのナンバーは5曲。上位には「Hype boy」(8位)、「Ditto」(12位)、「OMG」(15位)がランクインした(※1)。いずれもリリースしてから数カ月が経過しているが、「Hype boy」に至っては約10カ月前に出した曲である。ベテランのアーティストでもここまで支持を集める音楽は滅多にないだろう。

 海外でも同様だ。特にアメリカでは目を見張るものがあり、積極的にプロモーション活動をしていなくても、「Hype boy」が現地ビルボードの「グローバル200」で37週連続(2022年8月20日付~2023年4月22日付)でチャートイン。これは歴代のK-POP女性アーティストの曲の中で最長期間となる。

 ストリーミングでも彼女たちの人気は凄まじい。Spotifyによると、「Hype boy」が今年5月1日(アメリカの現地時間)時点で累計再生回数が3億回を突破。他にも「Ditto」と「OMG」は3億回、「Attention」は2億回、「Cookie」は1億回再生されている。オリジナル曲のうち5曲が“1億回超え”で、しかも昨年登場したばかりのニューフェイスが成し遂げてしまったという事実に、ただただ驚くほかない。

 NewJeansが短期間で絶大な人気を手に入れた理由は何だろうか。アジア特有の可愛らしさを前面に出したビジュアルや、思わず真似したくなるほどキャッチーだが実は難易度がかなり高いパフォーマンスなどが受けたのは想像に難くないが、特に効果的だったのはサウンドメイクの独自性だと言えよう。

 グループの音作りのベーシックは“レトロ”である。これは現在のポップスのトレンドを語る上でも欠かせないキーワードだ。レトロな音と言うと、最近のK-POPは70年代のディスコ/ファンクや80年代のエレポップ、90年代に盛り上がったニュージャックスウィング、古き良き時代のストリートダンス、日本産のシティポップなどを意識したものが目立つ。

 ところがNewJeansのレトロ感覚はひと味違う。「Ditto」は80年代に完成したボルチモアクラブのビートを参考にしたそうだが、さらにフラメンコ風の手拍子を加えてオリジナリティを際立たせ、「Cookie」や「OMG」ではオーソドックスなR&Bにチルアウト感を挿入したジャンル=フューチャーR&Bに仕上げるなど、“レトロかつフレッシュに響くサウンド”を心掛けているようである。

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