堂本剛、スガ シカオから米津玄師、Vaundyまで……ファンクを受け継ぐJ-POPアーティスト 邦楽シーンに根づいた過程も辿る
現在の音楽シーンの第一線でファンクを旗印に掲げる筆頭として、スガ シカオがいる。彼を中心に結成されたバンド・ファンクザウルスは、彼曰く「演奏している当人たちは極めて大真面目なんだけど、傍から見ているとコミカルに見える」(※1)というPファンクの特徴を正しく受け継ぐ存在だ。そのスガ シカオがファンだと公言するのがレキシで、埴輪や稲穂やイルカが入り乱れるエンターテインメント性過剰な、笑いと感動が同時に押し寄せるスぺクタクルなライブはまさにPファンク。ゲストアーティストが無限に増え続けるのもPファンクっぽい。もう少し下の世代ではBRADIOなどもPファンク的な楽しいステージングを展開している。今書いていて思い出したが、今年デビュー40周年イヤーに突入したTM NETWORKのファンを指すFANKS(ファンクス)の語源の一つがファンクで、数年前に観たライブでは宇宙船に乗って登場する派手な演出まであった。影響は意外に大きいのかもしれない。恐るべしPファンクの浸透力。
冒頭で触れた堂本剛(ENDLICHERI☆ENDLICHERI、ENDRECHERIなどを含む)は、ファンク愛を全開にした音楽活動を長年続けている。アルバム『Neo Africa Rainbow Ax』(2007年)ではSly & The Family Stoneのメンバーだったラリー・グラハムに自らコンタクトを取って共演が実現したという逸話もあり、「(ほぼ)スライとPファンクの両方と共演した日本人」というのはかなり凄い。今回のジョージ・クリントンとの共演は、さらにリスナー層を広げるきっかけになるだろう。
さらに若い世代で言うと、例えば米津玄師の楽曲にも「Flamingo」「感電」などファンクを強く感じる瞬間はいくつもあり、Vaundyの「不可幸力」などを聴いても、それと意識せずともファンクの要素が自然に溶け込んでいてつい体が揺れてしまう。Official髭男dism、Kroiなどもしかり、堂本剛と同じく『Love Supreme Jazz Festival 2023』に出演したSKY-HIなど、ラップアーティストは言わずもがな。スガ シカオやレキシらの世代が意図的にやっていることを、サブスクが主流になって以降にブレイクした世代が、よりスムーズに体感しながらポップミュージックに仕立てている印象がある。
音楽的には非常に洗練されたストイックの極みだが、放たれる空気は祝祭感溢れる快楽的ダンスミュージック。正直、ジャンルとしては日本では今もマイノリティだと思うが、“Pファンクを受け継ぐJ-POPアーティスト”は着実に増えていると感じる。ファンクの大らかな包容力と連帯感は世界を救う……かもしれない。一言で語り尽くせないファンクの魅力がより広く深く知られますようにと、来るべき七夕の短冊にはそう書くことにしよう。
※1:https://realsound.jp/2023/02/post-1250780.html
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