浜田省吾、35年以上を経ても色あせないライブパフォーマンス 岩熊信彦氏が語る、人を惹きつける魅力

浜田省吾、色あせないライブパフォーマンス

人を惹きつける浜田省吾の魅力

浜田省吾

ーー岩熊さんは初期から浜田さんの活動に寄り添っていらっしゃいますが、彼のライブの魅力はどういうところだと思われますか。

岩熊:本人が言うには、自分は常に変わらない。ただ年を重ねてきているので、ライブのやり方とか考え方は変わっていく。パフォーマーとして、エンターテイナーとして演じること、これができるうちはやり続けたい、というのが彼のこだわりですね。8年ぐらい前かな、「俺は70歳までやるから、ついてきてよ」と言ったことがあった。去年70歳になって、その後のことは聞いてませんけど、僕が2027年までのプランを出したんです。何年にこんなツアーをしたい、こんな作品を作りたいと。そうしたら浜田が「そうかあ、じゃああと5、6年はやるかもしれない」と言ってくれて。

ーーそんなプランニングをして活動されているとは驚きです。

岩熊:お互いモチベーションをあげていかないと。そういう年ですから(笑)。でもそれに耐えうるパフォーマンスを今もやってるわけですよ。同じ年代で続けている人は数人しかいない。もっと上の世代だと小田和正さんや矢沢永吉さんがいますけど。この渚園のイベントもそうですけど、周りにやっている人がいないから大変だけど、次の世代に対して、ここまでやれるんだ、やっている人がいるんだと、マイルストーンというか、そういうものを示したいというのはありますよね。

ーー自らロールモデルとなるように活動して若い世代にアピールしていくことも大切ですね。

岩熊:それはそうです。今回の映画に収録した曲は、35年前のものですが今の時代の曲であってもいいわけです。浜田のライブには、2世代3世代で一緒に来るお客さんもいる。この映画で35年の空気感を感じ取ってもらって、こんなアーティストが日本にいるんだよと、若い人たちに届くといいなと思います。

ーー浜田さんはソロデビュー以前に組んでいた愛奴のギタリストだった町支寛二さんと今も共に活動していたり、もう一人のギタリスト・水谷公生さんもソロになってからずっとバンドのメンバーであり、Fairlifeというユニットを組んでもいます。ソロだけれどバンド感がありますね。

岩熊:町支くんは40年以上、水谷も40年一緒にやっている。スタッフにも40年以上一緒の人がいるわけです。それは浜田自身が持っているパッションというか、人を惹きつける魅力があるんだと思うんですよね。根本にある彼の人生観、生き方、社会に対する向き合い方、周りはみんな共有しているし共感するし、浜田のためなら協力する、頑張ろうと言ってくれる。40年皆が繋がってるのは、そういうことだと思いますよ。

ーー岩熊さん自身も繋がり続けているわけですね。岩熊さんから見て浜田さんがそれほどに人を惹きつける魅力とはどういったものでしょう?

岩熊:彼の生き方の真面目さ、自分にも他人に対しても絶対に嘘をつかないところ。彼は繊細で、すごく僕たちにも気を使うし、驕ることもない。だから僕たちは浜田省吾をサポートしようという気持ちになるんですね。そういうものが楽曲に表れたりするじゃないですか。ミュージシャンはヤンチャでいいよという人もいるけど、そうじゃないんですよ。自分の音楽には真面目に向き合ってほしい。生き方を裏切らないようにしてほしい。不真面目さや裏切りが一切ないし、裏表もない。そういうところがすごいなと近くにいて思います。

浜田省吾

ーー浜田さん自身は、この映画が完成して何かおっしゃっていますか。

岩熊:浜田は事前に板屋くんと僕の作品だし、35年前のものだから任せるよと。ただ自分の表情とか気になるところは省かせてくれる? というのはありましたけど。編集に関しては何もなかったですね。完成してスクリーン試写を観終えて、35歳の自分の映像とサウンドの記録を残してくれたこと、そこにオーディエンス、スタッフ、ミュージシャン、皆がいてくれたことに感謝する、本当に嬉しい。自分は素直にこの映画に拍手したい、自分の目線でこの映画は観られると言ってましたね。

ーー先程お話の中で、このライブは浜田さんの第3期の総括という風におっしゃっていましたが、この映画が公開されることでまた一つ浜田さんの活動にマイルストーンが置かれた感がありますね。

岩熊:そうですね。この映画のマイルストーンとしての役割は本当に大きいと思っています。これを若いミュージシャンに観てほしいと思うし、浜田のように30年、40年後にも第一線でやるんだという気持ちを持ってほしいと思います。浜田本人は一つひとつのコンサートに対する思いが強いというか、すごく真剣に向き合って来たんですよ。彼は今70歳で今後どうできるかわかりませんが、でも違うテーマが出てくると思うんです。地球だったり、エネルギーや社会情勢とか。70歳になって何をやるか。僕たちはもう失うものはないから、伝えるものが大事。70歳過ぎても第一線でエンターテインメントできていること自体がテーマになっていくんだと思います。

■作品概要
タイトル:浜田省吾 『A PLACE IN THE SUN at渚園 Summer of 1988』
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
映画公式HP:https://www.sh-nagisaen1988.jp
コピーライト:©2023 Road & Sky
5月25日(木)まで全国の映画館にて期間限定公開中

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