古川毅『カタリタガリ』最終回 松村和哉と語るSUPER★DRAGONのこれからあるべき姿

スパドラ古川毅『カタリタガリ』最終回

 SUPER★DRAGON・古川毅が、音楽を中心に影響を受けたカルチャーについて語る連載『カタリタガリ』が、今回で最終回を迎える。だが連載を締め括るにあたり、いろいろと方向性を模索するもなかなか定まらない。そんななか、「だったら僕が出たい」とある人物の手が上がる。彼の名は松村和哉。古川と同じSUPER★DRAGONのラッパーで、この『カタリタガリ』のファンだったとのこと。

 古川が9回の連載を通して得たこと、松村から見たこの連載の魅力から始まり、最終的には現在の音楽シーンのなかでのボーカルパフォーマンスグループの立ち位置や、これからのSUPER★DRAGONのあるべき姿まで、時間を追うごとに話す内容は深まり盛り上がっていく。この勢いのまま古川が続投しても松村にバトンを渡しても、もっともっと面白くなるのではと期待感が高まる、それでこそ『カタリタガリ』、そしてSUPER★DRAGONと言える前向きな激論を、最後にじっくり堪能していただきたい。(TAISHI IWAMI)

古川毅のぶれない芯が見える『カタリタガリ』

――今回で最終回。まずは毅さん、これまでの9回を振り返って思うことを話していただけますか?

古川毅(以下、古川):9回にも渡って、音楽を中心に自分の好きなカルチャーやSUPER★DRAGONのことを思いっきり語らせてもらったので、言いたいことは山ほどあるのですが、まずはこれまで本当にありがとうございました。たくさんのファンの方々、SUPER★DRAGONのことを知らない方々からも反応をいただけたことで、回を追うごとにやりがいが増し、ここまで続けることができました。また前回、熊木幸丸さんと対談したことで彼のバンドLucky KilimanjaroとSUPER★DRAGONの2マンライブイベントが実現したり、高岩遼さんに挨拶できる機会があったり、目に見える新しい繋がりが生まれたことにもすごく感謝しています。あとは、いろんなことを考えながら準備をして話してきたことで自分自身の内面も整理できて、それがSUPER★DRAGONや個人の活動にもいい影響をもたらしてくれました。そういう意味でもこの連載をやれてよかったです。

古川毅

――和哉さんはそんな『カタリタガリ』のファンだったとか。

松村和哉(以下、松村):はい。だから毎回楽しみにしていたんですけど、最近新しい記事上がっていなかったじゃないですか。

――前回から半年以上空いてしまいました。

毅:そしたら和哉から「どうなってんの? 待ってんだけど」みたいなLINEがきたのでやりとりしていたら、隙を見て「呼んでよ」って切り込んできて(笑)。

――それで今回の対談に至ったと(笑)。和哉さんは『カタリタガリ』のどんなところが好きだったのですか?

松村:毅くんの好きな音楽をジャンル問わず幅広く様々な角度から紹介しているバラエティ豊かな連載なんですけど、そのなかに彼のぶれない芯が見えるところが好きですね。その芯はSUPER★DRAGONのメンバーとしてともに活動しているときに感じるそれと同じで、「やっぱり毅くんってどこでもそういう人だったんだ」と、点が線で繋がりました。

――その“芯”とはどのようなものですか?

松村:エンタテインメントの世界では、やりたいことや好きなことと、伝わることや求められることは違うって、よく言われるじゃないですか。だからと言って周りに合わせているだけでは楽しくないし、それこそ伝わらない。じゃあどうすればいいのか。毅くんはインプットにおいてもアウトプットにおいても、常にその視点を最重要視しているように思います。

古川:確かにそうかもしれない。

松村:そしてそこに共感もできるんです。というのも、僕は11歳の時にSUPER★DRAGONに入って、当時のディレクターに「お前ラッパーな」と言われてなんとなくマイクを持ったことをきっかけに、「ラップをやるならちゃんと理解しなきゃ」って、その背景にあるヒップホップに触れ、ハマっていきました。当初よく聴いていたのはAKLOやZORN。まるで素手で顎を殴られたような、それまでに聴いてきたいわゆるポップスにはない衝撃を受けました。じゃあその衝撃の理由は何だったのか。その頃ははっきりとわからなかったけど、今振り返って言葉にすると“リアルだったから”だと思うんです。ポップスは誰かに理解してもらうために寄り添うことが前提にあって、それが嘘とは言いませんがリアルが100%投影されているかとなると別の話だと思います。それに対して彼らのラップは彼らそのもので、明確に嘘がない。僕はそういうヒップホップのカッコ良さ、言い換えればオルタナティブとかカウンターと呼ばれるものに対する憧れがすごく強いんです。でもその反面、僕はアイドルでポップスをやっているし、やりたいと思っている。

――はい。

松村:オルタナティブなものから見たアイドルって、堂々とセルアウトしている人たちと捉えることもできるじゃないですか。だからと言ってヒップホップのカルチャーをそのまま持ってくるならヒップホップのプロジェクトをやればいいわけで。多様な趣味嗜好を持つメンバーが集まったアイドルグループのメンバーとして、自分はどう振る舞えば面白いのか。そこに感じるジレンマや考えなきゃいけないバランス感覚と共鳴するようなことを、毅くんがこの『カタリタガリ』でテキストとして発信していたことは、大きな刺激になりました。

松村和哉

古川:18歳でこの分析力やメンタリティはすごい。僕らは年齢でパフォーマンスしているわけではないし、舞台に立てばいくつだろうが関係ない。そのことを踏まえたうえでもです。自分が18歳の時にそこまで考えられていたのかというと、そうじゃなかったと思うので。

――和哉さんは今年高校を卒業されるんですね。

松村:僕と(柴崎)楽がグループの最年少で高校生。そこにフォーカスが当たってしまうことは理解しつつも、毅くんが言ったようにステージに立てばいくつだろうが関係ないという想いが強くて、これでやっと「高校生○○」とか「高校生なのにすごい」みたいな、高校生というラベルが剥がれてくれるのは嬉しいです(笑)。

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