細野晴臣が語った高橋幸宏の才能と審美眼 追悼特集の6曲にも表れた両者の音楽的な交わり

 高橋幸宏が逝去した後、国内外のアーティストーー高野寛、星野源、Sparks、Duran Duranなどーーが哀悼の意を示し、彼が残した音楽の素晴らしさ、ミュージシャンとしての魅力、生前の交流などについて発信している。

 桑田佳祐は1月21日放送のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TOKYO FM)で、以前、高橋と家族ぐるみの付き合いがあったとコメント。ビールを飲みながら、The Beatlesの楽曲を歌っていたと語った。また「ドラマーとしての偉大さはもちろんですけど、歌が好きでね」と高橋の1stソロアルバムの表題曲「SARAVAH!」をオンエアした。

 また山下達郎も22日放送の『山下達郎の楽天カード サンデー・ソングブック』(TOKYO FM)の冒頭で、「我々の世代の代表的なドラマー。とても素晴らしいテクニックを持ったドラマーです」と評価。高橋のほか、細野晴臣(Ba)、佐藤博(Key)、松原正樹(Gt)がレコーディングに参加した自身の楽曲「RAINY WALK」(アルバム『MOONGLOW』収録)をかけた。

 YMO、SKETCH SHOWなどで活動をともにした細野晴臣も、22日放送の『Daisy Holiday!』(InterFM)で高橋幸宏を追悼。「幸宏が16歳のときから、54年の付き合いでした」という交流や思い出を交えながら、細野自身も関わりのある楽曲を紹介した。ここでは番組内でオンエアされた6曲をもとに、両者の音楽的な交わり、高橋幸宏のキャリアを改めて紐解いてみたい。

 まずは2006年のソロアルバム『BLUE MOON BLUE』の表題曲。先鋭的なエレクトロニカを志向したSKETCH SHOWでの活動を経て制作された本作は、凛としたリリシズムと抑制の効いたボーカルを軸にした作品。この曲は、その方向性を端的に示した楽曲といえるだろう。細野は「SKETCH SHOWよりも深く洗練されたサウンドになっている」と評した。

 「幸宏は(サディスティック・)ミカ・バンドで世界のセンスを身に付けて、サディスティックスでドラムの腕を磨いて、YMOで才能を開花させたと思ってます。ポップセンスも優れていて」という言葉を挟んでかけられたのは、1stソロアルバム『Saravah!』に収録された「C'EST SI BON」。細野がベース、鈴木茂がギターを弾いているこの曲は、伝統的なフランス音楽を反映したシックなポップチューン。若き日の高橋の、やや張り気味のボーカルも心に残る。

 続いて紹介されたのは、細野が作曲、吉田美奈子が作詞を手がけた「昆虫記」。高橋が鈴木慶一(ムーンライダーズ)と共同設立した「T・E・N・Tレーベル」の第1弾アルバム『Once A Fool,… -遥かなる想い-』(1985年)収録曲で、硬質な打ち込みのビート、エキゾチックな音像が印象的なナンバーだ。

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