ジェフ・ベック、訃報を受けてバイラルチャート席巻 唄うギターでジャンル越境した、高度なオリジナリティと探究心

 Spotifyの「Daily Viral Songs (Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの1月18日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:ジェフ・ベック「Cause We've Ended As Lovers」
2位:YELLOW MAGIC ORCHESTRA「RYDEEN」
3位:高橋幸宏「元気ならうれしいね」
4位:ジェフ・ベック&ロッド・スチュワート「People Get Ready」
5位:NewJeans「Ditto」
6位:結束バンド「星座になれたら」
7位:高橋幸宏「Saravah!」
8位:ジェフ・ベック「Led Boots」
9位:結束バンド「転がる岩、君に朝が降る」
10位:Libianca「People」

 2023年1月は、レジェンド級のミュージシャンの悲報が重なった。1月10日に78歳でこの世を去ったジェフ・ベックもその1人だ。

 世界的なギタリストの急逝は世界中で大きなニュースとなり、多くのアーティストが追悼のメッセージを発信した他、世界中のファンが曲を聴き、彼の演奏を偲んだ。1月18日付のデイリーバイラルチャートでは、1位の「Cause We've Ended As Lovers」を筆頭に(1月12日付から1位をキープ)、4位「People Get Ready」(ジェフ・ベック&ロッド・スチュワート)、8位「Led Boots」、15位「Scatterbrain」、19位「You Know What I Mean」など、20位以内に5曲がランクインしている。さらに「Cause We've Ended As Lovers」は、Spotifyのプレイリスト『Weekly Buzz Tokyo』にもピックアップされた。

 イングランド出身のジェフ・ベックは、『ローリング・ストーン』誌の選ぶ「最も偉大な100人のギタリスト」において第5位を獲得(2011年発表)。グラミー賞を8回受賞している他、1973年から2017年まで述べ17回の来日公演も果たし、そのうち12回はツアーを開催している。日本においては、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジと並ぶ3大ロックギタリストの1人と称され人気を博している。

Jeff Beck, Rod Stewart - People Get Ready

 1960年代からギタリストとして活躍したジェフ・ベックは、ブルースロック、ファンキーな要素を含んだハードロック、フュージョン色の濃いインストゥルメンタル、ジャズやエレクトロニカに接近したロックなど、時代を象徴する様々な音楽を柔軟に取り入れ、数々の名作を世に送り出してきた。直近の活動を挙げれば、2020年にジョニー・デップとのコラボレーションで、カバー曲「Isolation(孤独)」(ジョン・レノン)を公開した際には、本曲が2人の継続的なコラボレーションの初リリースであることも発表されており、音楽に対する尽きない好奇心によって、生涯現役で在り続けた。彼が音楽シーンに残したもの、今の音楽シーンに与えた影響は測り知れないが、中でも最大の功績だと思うのは、ロックシーンにおける“ギターヒーロー”という地位を確立させた立役者の1人であったことだ。彼は「孤高のギタリスト」とも称されたように、1970年代中期以降にインストゥルメンタル音楽をメインにするようになってから、ギター1本でジャンルをクロスオーバーするスタイルで音楽を探求し続け “ジェフ・ベックというジャンル”を作り出し、“ギターヒーロー”で在り続けたのである。

Jeff Beck and Johnny Depp - Isolation [Official Music Video]

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