GACKT、なぜ『格付けチェック』に欠かせない存在となった? バラエティ番組を巧みに渡り歩く“芸能人”としての生き方

 GACKTが2023年1月1日放送のバラエティ番組『芸能人格付けチェック!2023 お正月スペシャル』(テレビ朝日系)に出演する。

 正月恒例の特番として人気の『格付けチェック』。いつも一流のものに触れている著名人であれば「高級品」と「安物」を見分けることは容易なはず、という目利きを試す同番組。出演者はチームを組み、ワインなどの飲食類から音楽演奏といった芸術まで、さまざまなジャンルの見極めに挑戦し、企画を通して自身の芸能界での「格」を知っていく内容だ。「自分は違いが分かる」と豪語してもあえなく「安物」に釣られるなど、一つひとつの結果に一喜一憂する著名人たちの姿がおもしろおかしく映し出される。

 そんな『格付けチェック』で“無双”しているのがGACKTである。GACKTは65連勝中(2021年までの記録。2022年は活動休止中だったため番組未出演)。味覚、音感などすべてのジャンルで「一流芸能人」であることを証明し続けている。これまで西川貴教、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)、YOSHIKI(X JAPAN)、倖田來未らとチームを組んで参戦してきたが、今回はGACKTの復帰戦にして連勝記録もかかっているとあってか、相方選びが難航。「GACKTは単独で出演」との噂まで流れている。

 番組上のイメージが強いことから、各所で「本物を知る男」と異名までつけられるようになったGACKT。それにしてもなぜ彼は、『格付けチェック』をはじめとするバラエティ番組にぴったりとハマることができたのか。

自分の見られ方を常に意識しているGACKT

GACKTが街中で整体師に!?すり替わりドッキリ!!

 近年のGACKTは、自身のYouTubeチャンネル『GACKTちゃんねる がくちゃん』ではボディケア体験者にシークレットで施術するドッキリの仕掛け人になったり(2021年1月10日配信「GACKTが街中で整体師に!?すり替わりドッキリ!!」)、YouTuberのSAWAYAN CHANNEL(サワヤン チャンネル)とコラボをして逆ドッキリをおこなったり(2021年5月15日配信「【神回】GACKTさんに隣人を撃退してもらいました」)、ユーモラスな面を垣間見せている。

 ただ1990年代、テレビなどに出演しはじめたときは、バラエティ的なノリが通じるアーティストとは到底思えなかった。バンド活動時代から様式美をもって活動しており、1999年のソロデビュー当初も近寄りがたい世界観が放たれていた。

 しかし彼はそのラベルを自らほんの少し剥がしていった。特に印象深かったのが『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)での、MC・ダウンタウンとのやりとりの数々である。浜田雅功から「あんた、スノボなんかやっていてうまいの?」と半信半疑で尋ねられたときも「貴公子に向かってなにを言っているんですか」とキレ気味に答えたり、クイズ企画でチームを組んだ松本人志から「うちの相方、やる気がない」と詰められると「なにやってんスか、これ?」と状況を把握していなかったり。『HEY!HEY!HEY!』では、自らの隙のない雰囲気をうまく利用して、「格好をつけながらトボけた一言を口にする」「眉間にしわを寄せながら軽くボケる」という意表を突いたキャラクター像を確立していった。

 それらはすべて「自分がこういうことをやればおもしろがられるだろう」と認識していなければできない芸当。自己プロデュース……というより、GACKT本人が自分自身の放送作家的な立ち位置をつとめながらバラエティをわたり歩いていったと言える。

 書籍『GACKTのドス黒いメンタリズム』(2022年/サンクチュアリ・パブリッシング)でも「自分がどのように見られてるのか、どのように見られがちなのか」を重視していると記述しており、「ギャップを意識していると、相手を一気に自分のペース、世界に招きいれることができる」と語っている。たとえば「顔が怖い人はちょっとした優しい台詞や態度を示すとものすごく好感度が上がる」という考え方は、まさに彼自身に当てはまるところがある。

 GACKTはソロ転向後、ミュージシャンとしてはもちろんのこと、「芸能人」として活動していくためにさまざまな方法論を実践してきたのではないだろうか。

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