桑田佳祐、原点と現在地を結ぶ35周年の充実した日々 『Mステ』や全国ツアーへの確かな手応えを明かす
11月23日、桑田佳祐の35年間にわたるソロ活動を総括した最新ベストアルバム『いつも何処かで』がリリースされた。今作のタイトル、および広告などで用いられている「いつも何処かで。これまでも、これからも。」というコピーが象徴しているように、このベストアルバムには、私たちの日々の生活に優しく寄り添い続けてくれる国民的ヒット曲が惜しみなく収録されている。ソロとして初めてミリオンを達成した「波乗りジョニー」、自身最大のヒット曲「白い恋人達」、また、東京2020オリンピック民放共同企画応援ソングに起用された「SMILE〜晴れ渡る空のように〜」をはじめ、それぞれの時代を鮮やかに彩ってきた楽曲が並ぶ全35曲のラインナップは壮観で、改めてサザンオールスターズのバンド活動と並行して、これほどまでに数多くのポップアンセムを生み出し続けてきたソロ活動のキャリアの凄みを思い知らされる。
また現在、桑田は5大ドームを含む全国10公演のライブツアー『桑田佳祐 LIVE TOUR 2022「お互い元気に頑張りましょう!!」』を開催中だ。今回のツアーは、ソロとして3度目の5大ドームツアーであり、バンドとソロの両方で5大ドームツアーを3回以上開催しているのは、長きにわたる日本の音楽史を振り返っても桑田佳祐ただ一人である。世界を見渡しても、数十年間にわたり、バンドとソロの両方で圧倒的な成功を収め続けているミュージシャンは極めて稀であり、楽曲面に加え、こうしたライブ活動の面においても、桑田がいかに突出した存在であるかが改めて伝わってくる。
11月26日、現在開催中のツアーの狭間のタイミングで生放送されたレギュラーのラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」では、「ベストアルバム『いつも何処かで』リリース&ツアー中間報告!!(ネタバレ注意でお願いね!)」をテーマにメールを募集。桑田は、リスナーから届いたメールを一つひとつ読み上げながら、ソロ活動35年という大きな節目を迎えた現在の心境を語った。今回は、その番組の模様を振り返っていく。
まずはじめに、桑田はツアー前半戦を振り返りながら、ライブに参加してくれたリスナーへの感謝の想いを伝えた。
「先週の土日はね、名古屋でライブをやりました。おいでいただいた皆様方、深く感謝申し上げます。コロナ禍のドームツアーということで、いろいろな規制があります中、お越し下さり本当にありがとうございます」
「やっぱりドームコンサートとなりますと広いですから、音響もいろいろ変わって参りますので、緊張もいたしますが、皆様のおかげでとても楽しい時間を過ごさせていただいてます」
続いて、ツアー前半戦で全国を廻った際に、各地の商店街で古着などを買ったトークから派生して、話題は11月25日に出演した『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)におけるタモリとのトークへ。そのまま、『Mステ』のスタジオにおける様々なミュージシャンとの交流を振り返った。当日、高熱のため出演キャンセルとなってしまった宮本浩次に代わり、急遽、東京スカパラダイスオーケストラと共にステージに立った10-FEETのTAKUMAについて、桑田は「彼もいい人よ、最後お話ししたんですけどね。歌良くてさ。『いや、TAKUMAくん、俺さ、あんたの歌最初に聞いた時さ、なんかやる気出ちゃったよ』なんて。正直スイッチ入っちゃったから」と語った。これはまさに、世代の異なるミュージシャンから受けた刺激を自身の活力へと変えていく桑田のフレッシュな姿勢が伝わってくるエピソードだったと思う。さらに言えば、刺激を受けるどころか、まだまだ後輩たちには絶対に負けたくないという気概すらも感じさせる語り口であった。66歳にして、誰よりもアグレッシブにステージに立ち続ける姿に、きっと後進たちも大きな刺激をもらったはずだ。また、この次のパートでは、親交のあるGLIM SPANKYとのエピソードを振り返った上で、自身の楽曲の中に交える形で、彼女たちの楽曲「Tiny Bird」を流した。桑田のピュアな音楽への愛と深い探究心が改めて伝わってくる一幕であった。