ハロプロらしい歌詞とは何か? 〈愛〉と〈地球〉と〈腹へった〉が同居する楽曲の魅力
2022年7月13日にメジャーデビューを果たしたOCHA NORMAが、11月30日に2ndシングル『運命 CHACHACHACHA~N/ウチらの地元は地球じゃん!』をリリースする。1stシングル曲の「恋のクラウチングスタート」は明るくポップに恋心を表現した楽曲だったが、先日MVが公開された「ウチらの地元は地球じゃん!」では、東京で夢に向かって奮闘する1人の女性の姿を歌っている。〈宇宙から見れば みんな同じ地元じゃん!〉と宇宙視点での達観した言葉がありながら、ミクロな視点で目の前の現実と向き合う歌詞も組み込まれている本楽曲。その世界観に触れたとき、ハロー!プロジェクトらしさを感じたファンも多いのではないだろうか。
今回、歌詞に多用されている言葉などをもとに、改めて「楽曲のハロプロらしさ」について言語化してみたいと思う。もちろん、楽曲は解釈される余地が残されているものであり、グループによってカラーも異なるため、ファン一人ひとりにそれぞれの意見があるはずだ。本稿の分析はひとつの考え方として、楽しんでいただけたら幸いである。
「宇宙」や「地球」と、リアルな生活模様が同居した歌詞
楽曲に表れるハロプロらしさといえば、まず挙げられるのが「視点の大小を行き来する歌詞」ではないだろうか。ハロプロの楽曲には「世界」「宇宙」「地球」といった壮大な規模の言葉と、具体的な地名や「地元」という言葉、主人公のリアルな生活模様が描かれた言葉が1曲の中に同居していることが多い。私たちもニュースを見て自然環境や世界平和に想いを馳せながら、次の瞬間、小腹のすいたお腹をさすって「今日の夕飯どうしよう」と考えることがよくあるように、主人公のリアルな人間らしさは多くの共感を誘っている。
実際、10代の頃からハロプロに触れ、アンジュルムのファンを公言している女優・モデルの菊池亜希子も雑誌のインタビューの中でこのように語っている。
「世界平和や輪廻転生といった大きなテーマを歌いつつ、『ご飯がおいしかった』という歌詞も隣り合わせなのがリアル。おいしいものを食べて救われても、心の中の葛藤は消せないってことまで歌われていて、まさに人生の縮図だなと思います」(※1)
この特徴を最も体現しているのが、モーニング娘。の「恋愛レボリューション21」ではないだろうか。〈恋もして 仕事して〉という1人の女性の現実を描きながら、〈歴史きざんだ地球〉に意識をめぐらせたかと思えば、また〈泣いちゃった 腹へった〉と人間らしい部分を表現している。
この傾向はモーニング娘。だけでなく、他グループにも受け継がれている。例えば、アンジュルムの「46億年LOVE」では目の前の恋愛に葛藤する主人公を描きつつ、〈結局はラブでしょ〉と喝破しながら、〈地球回る 宇宙もDance Dance〉〈愛は超える 46億年〉と壮大なスケールの歌詞を歌い切っている。