いま女性アイドルに“姉妹グループ”は必要? AKB48、ハロプロ、坂道……それぞれの打ち出し方を比較

 AKB48にはSKE48、NMB48、HKT48、NGT48、STU48、ももいろクローバーZには私立恵比寿中学、TEAM SHACHIなど人気アイドルグループには“姉妹グループ”が存在する。

 姉妹グループとは、姉=軸となるグループと事務所が同じ、またはプロデューサーら運営チームが同じなど、体制的に共通点をもった後発グループのことである。よく似た呼称に“第2・第3のグループ”というものがあるが、そこには微妙な違いがあると筆者は考える。

 姉妹グループは、姉のグループのコンセプトを継承するなど世界観や方向性にリンクするものがあり、文字通り、血筋を感じさせる部分が多いように思う。一方で第2・第3のグループという呼称では、コンセプトなども含め基本的には別モノとして考えた方が良いだろう。こちらは姉妹ではなく、クラスメイトや部活仲間のようなニュアンスが近いかもしれない。

 だが、いずれの呼び方であっても先発グループ、後発グループの関係性に変わりはない。具体的なメリットとしては、良い意味で先発グループにあやかれるところだ。たとえばAKB48グループであれば、妹グループの曲数が少ないうちは、姉であるAKB48の楽曲をカバーするなどしてライブを構成している。また、ごく自然な流れで姉グループのファンからも注目を浴びやすく、ほかのアイドルに比べてもスタートダッシュから高い水準の人気と認知度を獲得できる。

【ちょい見せ映像倉庫】2020年1月20日 AKB48グループリクエストアワーセットリストベスト50 25位~1位

 実際に、私立恵比寿中学、TEAM SHACHI(2018年10月まではチームしゃちほこ名義)、たこやきレインボー(2021年5月でメンバー全員卒業)といったSTARDUST PLANET勢は、人気上昇中だったももクロZの妹分であることを全面に押し出しながら活動。その打ち出し方の効果は絶大だったように思える。また、たこやきレインボーの場合はももクロZ主演の映画『幕が上がる』(2015年)にメンバーが登場するなどして姉妹共演も実現させた。姉妹グループであれば、そういった話題作りも可能なのである。

 また、妹グループ結成時には姉グループのメンバーが兼任という形で参加し、その経験値を生かすなどして後発グループの起爆剤になることもある。記憶に新しい例では、AKB48の岡田奈々だろう。2016年『AKB48 45thシングル選抜総選挙』で14位にランクインし、初めて選抜入りを果たすなど大きく飛躍した翌年、新設されたSTU48に兼任メンバーとして加入。キャプテンをつとめるなどして妹グループの船出に大きく貢献したほか、自身の成長にも結びつけた(2022年3月18日をもって兼任解除)。

【MV full】暗闇 / STU48 [公式]

 規模の大小にかかわらず、現在のアイドルシーンではこういった姉妹グループや第2・第3のグループという“後発グループ制度”がひとつのスタンダードとなっている。後発グループの誕生によって先発グループも勢いづくこともあれば、先発グループのファンが後発グループも好きになって“事務所推し”になる場合もある。たとえば、先発グループがライブ時にメンバーが急きょ欠けてしまった場合、持ち曲に馴染みのある後発グループのメンバーが代打で出演する場面も時折見かける。そうした、運営上のメリットもあることから、後発グループを誕生させることが増えている印象だ。

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