THE LAST ROCKSTARS、カーリングシトーンズ……レジェンド級ドリームバンド結成のメリットとは?

 サッカーワールドカップの各国代表、野球の日本代表=侍ジャパン、NBAのドリームチームなど、普段とは違うチームメイトが集結して戦いに挑む姿は、観戦していても独特の高揚感が与えられる。また、「自分が考える代表チーム」やオーダーを夢想するのも楽しい。昭和世代の多くは、『週刊少年ジャンプ』の人気キャラクターたちがクロスオーバーしたゲーム『ファミコンジャンプ 英雄列伝』(1989年)に心躍らせた経験を持っているのではないか。いつの時代も、そしてどんなジャンルでも、そういった「オールスターチーム」を見るとワクワクが止まらないものである。

 音楽の世界でも夢の共演にはいつも興奮させられる。なかでも、キャリアを積んだミュージシャンたちによる「ドリームバンド」「ドリームユニット」からは格別な魅力が放たれる。

奥田民生はカーリングシトーンズ、井上陽水などコラボが多々

 筆者の印象に特に残っているのが、2005年に大阪・泉大津フェニックスで開催されたロックフェス『OTODAMA ~音泉魂~』である。ヘッドライナー級として出演したのが、BO GUMBO UNION。フロントマンのどんと亡きあとのBO GUMBOSと、ソウル・フラワー・ユニオンのメンバーが一夜限りで合体してパフォーマンスを繰り広げた。それだけでも涙モノだったが、さらに同フェスへ出演していた奥田民生、YUKI、UAらもステージにあがってきたのだ。どんとへのリスペクトや音楽を奏でる喜びに満ち溢れたそのステージは、一生忘れることができない瞬間だった。

 奥田民生は、以前から色々なコラボで私たちを楽しませてくれている印象がある。2018年には、寺岡呼人のソロ活動25周年を記念して、寺岡、斉藤和義、浜崎貴司、YO-KING、トータス松本とカーリングシトーンズというユニットを結成。そのユニット名の由来であるカーリングにちなんだ楽曲「スベり知らずシラズ」がカーリングの大会『第37回全農・日本カーリング選手権大会』の公式テーマソングに抜てきされたほか、2021年には映画『マイ・ダディ』の主題歌に「それは愛なんだぜ!」が起用されるなど、“意外”にも精力的な活動をみせている。

カーリングシトーンズ 「スベり知らずシラズ」
カーリングシトーンズ Music Video「それは愛なんだぜ!」~映画「マイ・ダディ」主題歌~

 奥田は過去に井上陽水とユニット、井上陽水奥田民生を組んで「ありがとう」(1997年)などのヒットソングをリリース。ほかにもChar、山崎まさよしとの三人侍、YO-KING、大木温之、佐藤シンイチロウとのO.P.KING、岸田繁、伊藤大地とサンフジンズを結成するなど実に多彩である。なにより奥田のコラボ相手はみんないかにも波長が合っていて、どれも納得の顔合わせである。

「ドリームバンド」への参加でミュージシャンとしての可能性が広がる

 ちなみに3月4日放送『バズリズム02』(日本テレビ系)に奥田が出演した際、メッセージゲストで登場したトータス松本が「僕が音楽をやめて俳優になろうとしたとき、(奥田に)飲み屋に呼び出されて説教され、引き止められた」というエピソードを明かしていた。この言葉は奥田、トータス松本だけではなく、キャリアを積んだミュージシャンたちがコラボをする理由の“核心”のひとつであるように思える。

 ビッグネームになればなるほど、音楽との向き合い方が難しくなるミュージシャンもいるはず。良くも悪くもすべての面で安定し、その活動がマンネリ化することもあるだろう。そうなると、かつて得ていたような刺激が失われるのかもしれない。そんななか、コラボというかたちでいろんなミュージシャンと接点を持って創作に打ち込むことで、薄らいでいた刺激や新鮮さが取り戻せるのではないか。

 また、別々に活動していた者同士が集まる「ドリームバンド」「ドリームユニット」に参加することで、今までにない発見が得られることもある。

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