Mori Calliopeはポップカルチャーの新たな起点となる JP THE WAVYプロデュース曲で実現した刺激的な化学反応
ひょっとしたら、我々は全く新しいタイプのアーティストが世界に羽ばたいていく瞬間に立ち会っているのではないだろうか。
今年の夏にMori Calliopeの初ライブ『New Underworld Order』を観た時に抱いたそんな直感は、徐々に確信に変わりつつある。単に人気がある、勢いがあるということだけじゃない。存在自体がユニークで、その背景にいろんなカルチャーの文脈が連なっている。バーチャルな世界を拠点に、英語圏と日本国内で同時進行的に現象が巻き起こりつつある。そして何より、音楽として、ラップミュージックとして、シンプルにかっこいい。7月20日にリリースされたメジャー1st EP『SHINIGAMI NOTE』は、この先のさらなる飛躍にワクワクさせられるような内容だった。
そして10月31日に、新曲「I’m Greedy」が配信リリースされた。これが相当に刺激的な1曲だ。12月16日にリリースされるメジャー1stアルバム『SINDERELLA』の収録曲で、プロデュースはJP THE WAVY。つまり今の日本のヒップホップシーンを牽引するラッパーを制作に迎えた座組みである。
Mori Calliopeというアーティストを紹介するとき、多くのメディアは「肩書き」と「数字」を入り口にする。「ホロライブプロダクション」傘下の英語圏グループ「ホロライブEnglish」に所属するVTuber/ラッパー。YouTubeのチャンネル登録者数は200万人超。もちろん、言うまでもなく、大きな「数字」だ。が、やはりフォーカスすべきはその音楽性、卓越したラップのスキルと特異なキャラクターだろう。
筆者が最初にMori Calliopeを知ったのは、オリジナルソング「失礼しますが、RIP♡」がきっかけだった。まず衝撃だったのは英語と日本語を織り交ぜた切れ味鋭いフロウ。目まぐるしい曲展開も印象的だった。
「死神ラッパー」というキャラクターのMori Calliope。英語のネイティブスピーカーでありつつ、そのルーツに、らっぷびとやFAKE TYPE.など00年代以降のネットラップ/ニコラップがあるというのもユニークだ。