BTS、世界中のARMYと築いてきた深く強い絆 釜山ライブへの挑戦で見える新たな景色

 BTSが、10月15日にまた新たな挑戦をする。韓国・釜山にて『WORLD EXPO 2030 BUSAN KOREA CONCERT BTS <Yet To Come> in BUSAN』を開催するのだ。

 このコンサートは、2030釜山国際博覧会誘致の成功を祈願するものだという。JIMIN、JUNG KOOKの出身地でもあり、BTSは広報大使に就任。釜山アジアド主競技場で開催され、釜山港国際旅客ターミナルの屋外駐車場ではおよそ1万人が大型スクリーンでライブ映像を楽しめるLIVE PLAYを実施。さらに、オンラインライブストリーミングは無料で視聴可能にするなど、かつてない取り組みが話題を呼んでいる。

 もちろん釜山に多くの人が集まることに対して懸念の声も上がっている。当日の交通混雑が心配されるだけでなく、当初予定されていた日光(イルグァン)特設ステージ周辺では宿泊施設の価格が高騰するなど、解決しなければならない課題も少なくない。だが、そうした問題点も挑戦すればこそ見えてくるもの。リスクがない挑戦はないのだと、改めて気づかせてくれる。

 BTSはこれまでも、多くの挑戦をしてきた。ヒップホップをベースに立ち上がったボーイズグループだけに、若者の叫びとも言えるメッセージ性の強い楽曲を歌ってきたことも。また2018年には、RMが国連総会でメンタルヘルスをテーマにスピーチをし、2020年には人種差別反対の動きに賛同。所属事務所と共にBlack Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)支援に約1億円を寄付したことも注目を集めた。さらには2022年にはアメリカ・ホワイトハウスを訪問し、ヘイトクライムの防止と多様性の実現についてバイデン大統領と意見交換をしたことも記憶に新しい。

 何かを強く訴えるときには、それに同意しないリアクションも強く返ってくるもの。事実、彼らに向けて心ない言葉が届くことも少なくなかった。しかし、そのリスクを負ってでも彼らは表現することを続けてきた。もしかしたら、もっと楽に進める道もあったかもしれない。だが、それではこれほど多くの人々を魅了することもなかったのではないだろうか。

 昨年BTSが行なったオンラインコンサートには、197カ国のARMY(BTSのファン)が参加したと報じられた(※1)。この数は、国際博覧会機構加盟国数の170カ国よりも多い。これだけの国のARMYとつながることができたのも、BTSの挑戦の結果とも言える。それはWEB上にアップされている彼らの豊富なコンテンツの数々。その多くが無料だ。またV LIVEでの生配信も頻繁に行なわれ、ライブ以外でもメンバーと同じ時間を共有することができる。

 気軽にアクセスしやすい分、消費されてしまう可能性も考えられたはず。しかし、そんなリスクを恐れずに独自開発したプラットフォーム『Weverse』で、さらにARMYとのコミュニケーションを重ねてきた。メンバーの投稿は、すぐに各国の言葉に翻訳して読むことができるため、言語の壁も感じさせない。その対応している国と地域の数は、世界246以上というから驚きだ。より広く、よりオープンに。その結果、むしろより深く、より強い絆がARMYと築かれていったように思う。

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