Snow Man 深澤辰哉、忠実に役割を果たす仕事人 グループの礎を築くパフォーマンス
2ndアルバム『Snow Labo. S2』の発売、全国8都市を巡るツアー『Snow Man LIVE TOUR 2022 Labo.』の開催を控え、新曲や新たなパフォーマンスへの期待が高まっているSnow Man。リアルサウンドでは、昨年に開催され、今年5月に映像作品としてリリースされた『Snow Man LIVE TOUR 2021 Mania』(以下『Mania』)をもとに、メンバー一人ひとりの個性やパフォーマンスにフォーカスする短期連載を展開中だ。第2回はグループの最年長メンバー・深澤辰哉に注目する。(編集部)
深澤辰哉のパフォーマンスにおける“Mania”なポイント
真正面からカメラに抜かれた時よりも、ふとした時に映り込んだ瞬間、その所作の美しさに目を奪われる人かもしれない。職人集団と呼ばれるSnow Manの中でも、ダンスでも歌でもバラエティでも、どの役割をあてられても忠実に役割を果たす仕事人。それが深澤辰哉だ。
Snow Manのパフォーマンスを見る時、例えばラウールや佐久間大介のような華やかなダンスにまず目がいくとして、そういった「魅せる」ダンスが際立つのは、その他が均一に揃っているためだ。集団でのダンスは、個人技かつ団体芸である。センターやソロパートに立つ時には目を引く華やかさが必要だし、その分揃えるべきところが揃っているとなお引き締まり、全体としての美しさに繋がっていく。その「均一さ」の要になっているのが深澤だ。決してパフォーマンススタイルは派手ではないし、目立ちづらい位置にいることも多い。けれど、その忠実な振りは、9人のダンスとしてバランスをとる上で欠かせないものだ。
パフォーマンス以外でも仕事ぶりを発揮する。メンバーの中では、三枚目のいじられ役の深澤。『Mania』の中でも、「みんな!今日は深澤辰哉のソロライブに来てくれてありがとう!」と客席に呼びかけてメンバーから総ツッコミをうけたり、「HELLO HELLO」では恒例になりつつある、サビであえて踊らない「静止芸」を披露。向井康二・宮舘涼太とのユニット曲「P.M.G.」ではお味噌汁片手にかっこつける。身を挺してエンターテインメントを提供してくれる人だ。トークになれば基本的にMCを担当。ここでもいじられキャラになりつつ、その一方で全体に気を配りながら話を回す、気遣い屋で細やかな気質を垣間見ることができる。
そういう人だからこそ、ふとした瞬間の「キメ」の威力が大きい。例えば「Crazy F-R-E-S-H Beat」や「Hip bounce!!」の、関節の柔らかさを感じさせる滑らかな動きを見てほしいし、普段三枚目として振る舞っているからこそ、ふとした瞬間の決め顔が刺さる。この、「全体のために奉仕する精神を持ちつつ、決めるべきところをしっかり決められる」ところが、彼がファンの間で“リアコ”と呼ばれるゆえんの一つなのではないかと思う。
そんな深澤のパフォーマンスで、『Mania』の中で特に注目したいのが「Infighter」だ。クセのあるメロディで、サビはひたすら〈Na na na na na〉と歌う、Snow Manの中でも異質な楽曲だ。振りを付けた岩本照が「気持ち悪さ」や「違和感」をキーワードにしたと語っていた通り、奇妙な感覚を与える振りの連続には思わず「なにこれ?」と言いたくなるし、だからこそ、この曲には後を引く中毒性がある。そんな「Infighter」でサビからセンターおよび先頭の一番目を引く立ち位置を務めるのが深澤なのだが、見てほしいのがその目つき、表情である。センターに立った時の深澤は、どこを見ているのか、あるいは何も見ていないのか、何とも言えず得体のしれない顔つきをしているのである。この時の深澤は、ダンスと言わず歌と言わず、岩本の目指した「違和感」を完璧に汲み取り、体現している。この立ち位置は深澤にしかできないだろうと思わされるし、楽曲の目指すところを正確に汲み取る能力も見事だ。