『QUEENDOM 2』も好調、韓国サバイバル番組に新潮流 “プロ”による高度なパフォーマンスを堪能する傾向に

 3月31日からMnet/ABEMAで新たなアイドルサバイバル番組『QUEENDOM 2』が始まった。2019年に放送されたプログラムの続編で、“本格ガールズグループカムバックサバイバル番組”と銘打たれている通り、ガールズグループ6組が同日・同時間に楽曲をリリースして順位を競うサバイバルである。最終的に優勝したグループにはMnetで単独カムバックショーができる機会が与えられ、6月に勝者が決定する予定だ。今回は、元SISTARのHYOLYN(ヒョリン)、WJSN(宇宙少女)、LOOΠΔ(今月の少女)の他、2021年に「Rollin'」が大ヒットしたBrave Girls、同じくMnet/ABEMAで放送されたサバイバル番組『Girls Planet 999:少女祭典』から昨年デビューしたばかりのKep1er、元GFRIENDのメンバー3人で結成されたVIVIZなど、バラエティに富んだキャリアのアイドル達が出演している。今回から新しく設定された番組のグランドマスターを少女時代のテヨンが、韓国で人気の若手芸人イ・ヨンジンがMC的な役割のクイーンマネージャーを担当している。

 シーズン1が好評だった影響か、初回から3回目までの視聴率はシーズン1の0.5%から0.8%まで上がり、国を問わずK-POPアイドルファンの間で話題のサバイバル番組だ。『QUEENDOM』の特徴として、すべてのステージで曲選びや演出などをアイドル達本人が主体となって創り上げるという部分がある。後にボーイズグループバージョンの『Road to Kingdom』『KINGDOM : LEGENDARY WAR』が制作された。元々は女性アイドル達に商業的なことやファンダムを意識せざるを得ない通常のカムバックとは異なり、自分自身達が表現したいことを豪華なステージとして見せる機会を与えることで、「女性アイドル」への固定化された視線やイメージを覆してアイドル自身に主体性を与えるという試みを含んだ企画だった。男性バージョンの『KINGDOM』は同様のフォーマットながら男性アイドルと女性アイドルに対する社会的な目線やファンダムタイプの違いはあるものの、年末の歌謡祭やアワード以外では見られないグループを超えたコラボレーションやステージが見られるという点で、ファンダム以外からも注目を受けていた。

 韓国のサバイバル番組というと、日本では『PRODUCE』シリーズなどのいわゆるデビューをかけた「デビューサバイバル」が最も知名度があるだろう。確かにここ1〜2年の間でも『Girls Planet 999』のほか、『LOUD』『極限デビュー野生ドル』『放課後のときめき』などが制作されているし、ENHYPENがデビューした『I-LAND』の女性バージョンの制作も予告されている。一方で、『PRODUCE』シリーズの投票操作事件の影響で『PRODUCE』シリーズの放映時に比べると、韓国内ではアイドルのデビューサバイバルに対する社会的な注目度そのものは低くなってしまっているのも確かだ。しかしながら、サバイバル番組自体の人気は衰えておらず、2019年前後には韓国の演歌=トロット歌手のサバイバル『明日はミス・トロット』『明日はミスター・トロット』シリーズが、社会的現象になるほど人気となった。勝ち抜いた出演者の中にはアルバムを初動で40万枚以上売り上げたり、「オパール世代」と言われる50代以上の中高年層にまでアイドルファンと同様の“オタ活”に励む熱狂的なファンダムを生み出した。中高年層むけのオタ活講座も登場するなど、結果的に大きな社会的影響を与えている。

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