Kan Sanoが語る、Mr.Childrenのソングライティングの面白さ 『Kan Sano Talks About Pop Music』第6回(前編)
Mr.Childrenから学んだイントロの作り方
Mr.Childrenの曲作りの面白さの2つ目は、イントロについてですね。イントロは楽曲の世界観を最初に提示する場所ですけど、そのやり方として、楽曲のどこかからメロディやコード進行などの要素を引っ張ってきて、少しイントロに使うことがあります。例えばMr.Childrenの「CROSS ROAD」では、イントロ前半のコード進行がBメロと全く同じになっているんです。メロディはイントロでしか使われていないものなんですけど、ところどころ同じような音使いが入っていたり、Bメロの部分に#(シャープ)を入れたりしています。今からこういう曲が始まるんですよって提示する、イントロの作り方の1つのお手本だと思いました。
“Mr.Children流イントロ”を取り入れたKan Sanoの楽曲
僕が長谷川健一さんと一緒に作った「みらいのことば feat. 長谷川健一」では、1コーラス目が終わった後の間奏のコード進行をイントロに引っ張ってきて、キーを変えながら使いました。こうやって楽曲のどこかから要素を引っ張ってきて、イントロでも使うというのは、結構アカデミックなやり方で、クラシックとか、昔ながらの作曲家・編曲家の技法でもあるんですよね。すごく音楽的ですし、イントロの作り方として間違いない王道だと思います。おそらく、Mr.Children以外にもこういう作り方をしているアーティストはいると思うんですけど、僕はMr.Childrenから初めて学んだっていうことが大きかったですね。
『Kan Sano Talks About Pop Music』バックナンバー
・第1回(前編):The Beatlesを解説
・第1回(後編):The Beatles、J-POPに与えた影響
・第2回(前編):スティービー・ワンダーから学んだピアノ奏法
・第2回(後編):スティービー・ワンダーのコード進行とJ-POPへの影響
・第3回(前編):ディアンジェロがもたらした新しいリズム革命
・第3回(後編):ディアンジェロやJ・ディラがJ-POPに与えた影響
・第4回(前編):山下達郎が奏でるハーモニーの秘密を実演解説
・第4回(後編):山下達郎の影響を感じる楽曲と再評価の理由
・第5回(前編):サザン、キャンディーズ……ペンタトニックスケールから解説
・第5回(後編):米津玄師やUAの名曲をKan Sanoが解説