Kan Sanoが語る、スティービー・ワンダーから学んだピアノ奏法 『Kan Sano Talks About Pop Music』第2回(前編)

Kan Sano、スティービー・ワンダーを解説(前編)

 ソロアーティストとして話題作をリリースする一方で、国内外の様々な作品のプロデュースや演奏にも参加してきたKan Sano。絢香、Uru、CHARAといったアーティストの作品に携わるなど、2010年代以降のJ-POPシーンのキーパーソンの一人だ。

 本連載『Kan Sano Talks About Pop Music』では、彼のルーツとなったアーティストを取り上げていき、そのアーティストの魅力や、現在の音楽シーンに与えた影響を解説してもらう。第2回目は、スティービー・ワンダーをピックアップ。前編となる今回は、Kan Sanoが影響を受けたスティービー・ワンダーの音楽性について語ってもらった。

 なお本連載は動画でも公開中。動画ではKan Sano自身による実演を交えながら、スティービー・ワンダーの魅力を解説していく。(編集部)

Kan Sanoが語る、スティービー・ワンダーから学んだピアノ奏法

スティービー・ワンダーとの出会い

 小学校の頃にThe Beatlesを聴き始めてから、ボブ・ディランとかエリック・クラプトンとかThe Beatles周辺の音楽も聴くようになって。きっかけは覚えてないんですけど、ブラックミュージックの入り口になったのがスティービー・ワンダーでした。高校に入ったか入ってないかぐらいの頃、ベスト盤を買ったんです。当時は“ファンキー”って言葉すら知らなくて、CDショップに行ってもどこを探していいのか分からない状態で(笑)。そんななかで、スティービー・ワンダーと出会って、「こんな音楽があるんだ!」って衝撃でしたね。当時ネオソウルが流行っていたこともあって、ダニー・ハサウェイとかカーティス・メイフィールドとかジェームス・ブラウンとかソウル系のアーティストにもハマっていきました。

 今考えると、当時からThe Beatlesの曲の中でもブラックミュージックに影響を受けた音楽に反応してたんですよね。そのあとブラックミュージックを聴くようになって、The Beatlesが影響を受けてたものが何だったのかわかりました。

 スティービー・ワンダーに話を戻すと、彼はフェンダー・ローズ、クラビネット、ウーリッツァーのようなビンテージのキーボードを使っていて。「こういう時にはこういう音を使うんだ」と教えてもらいました。いまだにフェンダー・ローズとかクラビネットは使ってますし、今の自分に直接繋がる影響ですね。

『Talking Book』で影響受けた「リフ」という概念

 スティービーは60年代と70年代でもサウンドが変わってくるんですけど、特に僕が聴いていたのは70年代の作品でした。『Talking Book』は70年代にいくつか出た作品の一枚です。一つのコードでずっと繰り返す、もしくは、4小節ほどのコード進行をずっと繰り返すようないわゆる「リフ」という概念に影響を受けました。The Beatlesの曲でも出てくることはあるんですけど、スティービーのほうがより強烈でしたね。例えば「Superstition」ではイントロから序盤はずっと同じコードが使われていて、黒人アーティストが作る独特な粘りのあるビートやグルーヴ感にすごく惹かれましたね。

その後出会った、ダニー・ハサウェイの『Live』

 スティービーを聴き始めてすぐ後に、ダニー・ハサウェイの曲を聴くようになりました。バンドをやり始めた時期と重なったこともあって、彼の鍵盤のプレイスタイルに影響を受けましたね。カバーとかよくやってました。

 『Live』というライブアルバムには、すごく刺激を受けました。バンドサウンドとかグルーヴっていうものを意識するようになったんです。1曲目にはマーヴィン・ゲイの「What’s Going on」のカバーが入ってるんですけど、この曲のダニー・ハサウェイはちょっと音を控えめにしてるんですよね。一人で演奏する場面ではめちゃくちゃ弾いてるんですけど、バンドが入ってくるとちょっとゆったりしていて、それがかっこいいなと思いました。そうやって自分がちょっと間を置くことで、他のメンバーがプレイできる。時に弾かないことも重要であることを学びました。バンドサウンドの在り方を教えてくれたアルバムです。

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