八木沼悟志×南條愛乃による“第2期fripSide”ラストインタビュー 活動13年の集大成と前向きな別れの先にある道

“第2期fripSide”ラストインタビュー

 八木沼悟志と南條愛乃によるfripSideが、南條卒業を受けた第2期ラストアルバム『infinite synthesis 6』をリリースした。

 2009年に前ボーカリストのnaoが脱退、同年から2代目ボーカリストとして南條愛乃を迎え、現在まで止まることなく走り続けてきたfripSide。『infinite synthesis 6』では、第2期の集大成と言えるサウンドと、別れとその先のにある希望を言葉で紡ぐ、ラストに相応しい作品となった。本インタビューでは、卒業までの経緯をはじめ、ラストアルバムに詰めた思い、そして今後のfripSideについても話を聞いた。(編集部)

「結果的に寂しさはありますけど、悪いことばかりじゃない」(八木沼)

ーー昨年10月31日配信のニコ生特番にて南條さんのfripSide卒業が発表されましたが、そこに至る経緯を教えていただけますか?

南條愛乃(以下、南條):もちろん「私から辞めたいです」と言ったわけではなく、大人たちがfripSideの未来を考えた末の結論で、いろいろ考えてこの時期に発表になったのかなと思います。

八木沼悟志(以下、八木沼):僕も南條さんに卒業してほしいという気持ちがあったわけではないし、「もう卒業して」と言ったわけではなくて。実は南條さんが加入したときに、「ボーカルは交代制でやる」ということを公表しているんですよね。

南條:そうですね。最初の頃は「いつ次の人と交代するんだろう? もう私のボーカルで2、3枚歌っているけど……」と思っていましたし(笑)。

八木沼:(笑)。

ーー「あれ、次が来ないぞ?」と(笑)。

南條:「あれ、聞き間違えたかな?」みたいな(笑)。

八木沼:(笑)。でも、僕と南條さんの音楽的な化学反応であったり、ファンの方々に広く受け入れていただいたという側面があって、言い方は悪いけれどここまで延ばし延ばしになっていたというか。でも、第2期としての活動10周年を経た今、ここで一度着地して、2人がもう一度どのように離陸していくのかという楽しみを生み出すためにもひと区切りというのは必要なプロセスなのかなと、いろんな方々から助言を受けたんです。もちろん、周りの皆さんは僕と南條さんの音楽活動を本当に熱心に支えてくださっているので、2人の未来を考えてそういったアドバイスをくださったと思っていて。すごく貴重な意見だと思いましたし、結果的に寂しさはありますけど、悪いことばかりじゃないかなとは考えています。

ーー皆さんfripSideというプロジェクトを大切に思うからこそ、この先の未来をどう描いていくかという上での決断だったと。

八木沼:そうですね。10周年という節目を超えて、こういう相談が出ていて。でも、コロナになって「おやおや?」と思っているうちに、このタイミングになったんだと思います。

南條:私自身、卒業が決まってからしばらくは「いつ発表するのかな?」みたいな時期が、実は結構あったりしたので、私の中では卒業ということは受け入れて飲み込むことができていて心の整理がついていたんですけど、正式に発表したときはファンの方をたくさん驚かせてしまって。私がそうだったように、もちろんみんなの中でも受け入れるまでに時間が必要なんだろうと改めて実感しました。

ーーなるほど。南條さん卒業発表の時点では今年2月に第2期fripSideとしてのラストシングル『Leap of faith』をリリースすることと、4月にラストツアーを行うことをアナウンスしていましたが、まさか現編成としてのラストアルバムまで聴けるとは思ってもみませんでした。このアルバムにはいつ頃から着手したんですか?

八木沼:着手したのは結構最近で、去年の10月、11月くらいかな。

ーーニコ生の時点では「何かまとまった作品が出せたらいいな」くらいのお話も出ていましたが、それがフルアルバムに着地したわけですね。

八木沼:そうですね。南條さんの卒業ライブが決まったあたりだから、去年の夏ぐらいだったかな。レーベル側に「最後はアルバムで終わらせたいんですが」という提案を僕からしたら、この企画が受け入れていただけたという。やっぱりファンの方もそれを望んでいるんだろうなと予測していたので、作ることができてよかったなと思っています。

ーー第2期fripSideの初期から制作し続けているナンバリングアルバムの第6弾『infinite synthesis 6』で、こういうものを聴かせたい、どういったことを表現したいと事前にイメージしていたことは?

八木沼:まずは、約13年にわたるPhase2の活動を締め括るものでありたいなと。なので原点回帰はもちろんのこと、僕たち2人の歩みや経過、そして現時点での僕らのトレンドも含めた、玉手箱や写真アルバムのような作品にしたいなと考えました。

ーー聴かせていただくと、これまでの歴史の積み重ねを強く感じさせる内容であると同時に、ここから先のおふたりの未来も楽しみになるような内容になったのかな、という印象を受けました。

八木沼:こういう言い方もあれですけど、本当はまだまだ僕と南條さんで追求できるものが、なくはないと思うんです。だけど、ここで一回着地するということなので、出し惜しみするのも違うと思うので、お客さんにも「俺たちまだまだやれるけど、一旦着地するよ」という思いを音で感じてもらえたら、一番ありがたいかな。

ーー南條さんはこのアルバム制作に、どんな心持ちで臨みましたか?

南條:歌はライブがまだ残っているとはいえ、CDという形で皆さんの手元に残せるものは最後になるので、ちゃんとやり切って終えられたらいいなと思っていました。このアルバムの話が来る前はシングル(『Leap of faith』)が最後で、カップリングで歌詞を書ける機会もなかったので、アルバムでは思いを書き残すことがないように、作詞という面でもやり切りたいという気持ちで臨みました。

ーーまずこのアルバム、1曲目に驚かされました。

南條:ふふふ、そうですよね(笑)。

ーー第2期fripSideの1stアルバム『infinite synthesis』(2010年)の最後を飾る「stay with you」をリテイクした「stay with you -ver.2022-」を、今作の1曲目に持ってきた理由は?

八木沼:1枚目のアルバムのときに、南ちゃんがリスナーの皆さんに向けてすごくパーソナルな歌詞を持ってきてくれて「stay with you」になったんですが、卒業にあたってすごくふさわしい歌詞を最初の時点で書いていたんだなということに、今回改めて驚かされて。

南條:10数年前は「これからよろしくね」的な意味を込めてこの歌詞を書いたんですけど、それが10数年経つと本当に意味合いもほかにたくさん生まれてきているというか、歩んできた10数年分の思い出が振り返られるような歌詞にも感じますし、10数年前の歌詞が今につながるということがfripSideの物語としてもすごくエモいな、ドラマチックだなと思いました。

八木沼:それで、「最後だし、どうしてももう一度やりたいな。生ストリングスを録って、そこに歌を乗せてみたいな」という思いが強くなっていったんです。実は当初、この曲をアルバムのラストナンバーにしようと思っていたんですけど、実際完成したものを聴いてみたら「これを『Leap of faith』につなげて、アルバムの1曲目に持ってきたらアンセム的なものになるな」と確信できたので、1曲目にしました。

南條:最初に「stay with you」をレコーディングした当時は私もまだ新人だったこともあり、歌い方にしろ声にしろすごくピュアで。ただただあんなに純粋に歌うということはもうできないですし、あれは当時だけの持ち味だと思うので、「stay with you -ver.2022-」ではあの当時との違いを、fripSideの歴史という観点で楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

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