TWO-MIX、fripSide、GRANRODEO、Sir Vanity……声優が属する音楽ユニットの歴史を辿る

 声優の音楽ユニット活動が盛り上がっている。声優が並行して音楽活動を行うことは今や珍しくないが、声優のアーティスト活動と一口に言っても、ソロアーティストとして活動する場合、アニメやゲームの作中に登場するグループとして組まれたユニットなど、活動形態はいくつかある。そんな様々な形態の中でも今回は特に、声優が声優以外のアーティスト/クリエイターらと組んだユニットに焦点を当てていく。そこでは、声優というカテゴリーを越え、持ち前の声を生かした多様な活動が展開されている。

 遡ってみると、2000年以前からも声優とクリエイター/ミュージシャンのコラボによる活動は行われていた。高山みなみと作詞家の永野椎菜によるTWO-MIXや、桃井はること小池雅也から成るUNDER17は、声優業界を始め、その後のアニメ業界にも爪あとを残している。

 TWO-MIXはメディア露出も控え目でありながら、『名探偵コナン』(読売テレビ・日本テレビ系)や『新機動戦記ガンダムW』(テレビ朝日系)のオープニングテーマを担当し絶大な人気を誇った。UNDER17はVTuberの名取さななど影響を公言する者も多く、桃井の秋葉原への強い思いから今につながる“萌えソング”の伝播の役割を果たした。

TWO-MIX - JUST COMMUNICATION

 当時は声優がアーティスト活動をすることに対して否定的な意見も少なくなかったが、コンセプトや楽曲の質を重視したことによって、その後、声優がアーティスト活動をする道を開拓した時期とも言える。

 TWO-MIXは2021年にベストアルバムを発売しており、2002年から2004年という短い活動期間であったUNDER17は、2021年にKT Zepp Yokohamaで行われた『ススメ☆萌でんぱ少年!!大復活祭 2020!! ~過ぎさりし萌をもとめて~』で復活。声優音楽ユニット黎明期とも言える時期に活躍し、今に至る道を切り開いた2組が2020年代に再び話題となったことは記憶に新しい。

 そして、2000年代から活躍する声優音楽ユニットの代表と言えば、fripSideとGRANRODEOではないだろうか。

 今年結成20周年を迎えるfripSideは、南條愛乃の澄んだ歌声と八木沼悟志が作るシンセサイザーを中心に構築される楽曲で、『とある科学の超電磁砲』(AT-Xほか)など多くのアニメタイアップを担当。「only my railgun」「LEVEL5-judgelight-」といった初期に発表され長く愛される楽曲を多数持ちながら、時代を追うごとにデジタルミュージックを進化させ、声優ユニットの第一線に立ち続けている。作品を積み重ねるごとに“fripSideらしさ”の共通認識を強めていった2人は、3月にアルバム『infinite synthesis 6』をリリース予定。すでにfripSideからの卒業を発表している南條にとって、残された時間でfripSideとしてどんな新たな軌跡を描いていくのか見逃せない。

fripSide「Leap of faith」MV Short ver.*TVアニメ『失格紋の最強賢者』OPテーマ

 谷山紀章が属するGRANRODEOも、長きに渡って活躍し続けている。今年1月にリリースしたシングルの表題曲「カミモホトケモ」はメロディに和の要素を含んだ、落ち着きも衝動も内包された楽曲。アニメタイアップも多い一方で、ハードロックを核に様々な要素を組み込んだ楽曲を世に送るe-ZUKA(飯塚昌明)のギターと細やかな歌い回しで楽しませるKISHOW(谷山紀章)のボーカルは、ロックファンをも虜にする。彼らのファンの中には、谷山が声優として活動していることを後から知った人も少なくないだろう。声優としての魅力にとどまらない表現力で、歌手としても魅了し続けている。

GRANRODEO / カミモホトケモ

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる