JO1はなぜここまで人気を得ることができたのか ドキュメンタリー映画に収められた11人の軌跡

JO1、ドキュメンタリーに収められた軌跡

 11人組グローバルボーイズグループ、JO1のドキュメンタリー映画『JO1 THE MOVIE 「未完成」 -Go to the TOP-』が、3月11日に公開となった。同作はオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』(GYAO!/TBS系)でデビューを掴んでから、2021年11月19日から21日に行なわれた初の有観客ライブ『2021 JO1 LIVE “OPEN THE DOOR”』までの軌跡が収められている。

 振り返ると、JO1の快進撃は凄まじかった。デビュー前から様々な雑誌や番組、広告などに登場し、1stシングル『PROTOSTAR』は言わずもがなオリコン週間ランキングで1位を獲得。YouTubeの再生回数の伸びも勢いがあり、2021年2月には公式YouTubeチャンネルの動画合計再生数が1億回を突破している。現在、“戦国時代”と言われて盛り上がりを見せているボーイズグループ市場に、彼らは間違いなく貢献してきたはずだ。とはいえ、デビューするまでほとんどのメンバーはいわゆる一般人である。そんな彼らがなぜここまで人気を得ることができたのだろうか。『JO1 THE MOVIE 「未完成」 -Go to the TOP-』の中に、その答えを紐解くヒントが隠されていた。

 理由の1つ目は、これまでリリースしてきた作品である。『PROTOSTAR』(星の始まり)、2ndシングル『STARGAZER』(観測者)、1stアルバム『The STAR』(星へと成長)と、デビューシングル以降コンセプトがわかりやすく、しかもメンバーたちが成長していく様子ともピッタリだ。そして、3rdシングル『CHALLENGER』を冒険の始まりとし、以降様々なジャンルの楽曲をリリースして、都度違う一面を見せ続けてくれている。だからこそ、JO1の楽曲は様々な場面に合う。映画内でも「ツカメ〜It's Coming〜」、「Born To Be Wild」、「Prologue」などとジャンルの異なる楽曲が盛り込まれており、そのシーンをより一層盛り上げていた。コンセプチュアルかつ、多様な楽曲だからこそ誰でも刺さる曲が1つはあるはずだ。それが多くの人の心を掴む一因となっているのだろう。

 2つ目は、試行錯誤しながら成長していく様子だ。映画の冒頭、結成当初を振り返って「やっていける自信がなかった」(白岩瑠姫)、「未経験者が多かったので大丈夫かなと思った」(豆原一成)、「チームワークがなさすぎた。話し合いをしてもピリついていた」(大平祥生)などとメンバーたちが語っており、あまりいい状態ではなかったことがわかる。その状態は彼らをずっと追い続けているJAM(JO1のファンネーム)も少なからず感じることがあったはずだ。だが、同じ目標を目指す者同士、努力とコミュニケーションを重ね、その壁を打破。今や何気ないSNSの投稿を見ただけでも、仲が良いことがわかる。こうして土台を固め、勢いよく活動をしていこうとした矢先、新型コロナウイルスの蔓延という新たな壁ができてしまう。映画ではライブや握手会ができないと顔を曇らせていたメンバーたちだが、Webコンテンツやオンラインライブなどできることを着実にやったり、練習に精を出したり、愚直に努力を重ねてきたのだ。だからこそ、『2021 JO1 LIVE “OPEN THE DOOR”』が決まった時の喜びはひとしおだったに違いない。豆原が「めちゃくちゃ練習(スケジュールを)入れてください」と大きな声で言っていた場面が印象的で、その言葉からは気合と覚悟が伝わってきた。こうして苦難を乗り越えてきた彼らだからこそ、発する言葉にも感銘を受ける。例えば、佐藤景瑚が「コロナは神から与えられた試練」、「ちゃんと準備をしてから(大きな舞台に)行ける」と言っていたシーンがある。応援するJAMにとってもこの2年間は苦しかったはずだ。だが、JO1メンバーがその苦しい状況を前向きに捉えてくれていたと知ることで、少し心も軽くなるのではないだろうか。ひたむきに、前向きに、努力をし続けるJO1の姿は、見る人の心に感動を与え、応援したくなるのである。

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