葛葉、ニートのゲーマー吸血鬼がメジャーアーティストになるまで 想定外な音楽活動への素直な気持ち

葛葉、メジャーデビューへの道

 にじさんじに所属するバーチャルライバーとして活動し、チャンネル登録者数は120万人、Kanaria「KING」の歌ってみたカバーは3200万回再生を突破と、歌い手としても人気爆発中の葛葉。2022年3月9日にリリースされる1stミニアルバム『Sweet Bite』でついにメジャーデビューを果たすのだが、このタイミングで本作についてはもちろん、公式プロフィールいわく「親の甘い蜜を吸い続けるニートのゲーマー吸血鬼」であった葛葉がリスナーと共にどんなストーリーを歩み、夢を与える存在にまで成長してきたのか。格好付けなしの素直な言葉で語ってもらった。(平賀哲夫)

「メジャーデビューはマジで想定外です!」

【MV】甘噛み/葛葉

--1stミニアルバム『Sweet Bite』でのメジャーデビュータイミングということで、本作についてはもちろん、葛葉さんのこれまでのストーリーについてもお聞きできればと思っているのですが、そもそもどのような流れで音楽の道を歩むことになったんでしょう?

葛葉:いろんな大人たちが動いてですね……(笑)。挑戦できるきっかけをいただいたんですよね。どんなに歌を頑張っていても、こうしてメジャーデビューできる人なんてほんの一握りじゃないですか。なので、「ぜひやらせてください」ということで、本格的に音楽をやらせていただくことになったんです。

--ということは、葛葉さんからしたら想定外の展開だったんですか?

葛葉:そうですね! まさかこんなことになるとは思っていなかったです。バーチャルライバーの界隈で「歌ってみた」みたいなものが流行ったりしていて、自分も「これは通るべき道かな」と思って、ファンもそれを望んでくれていたので、最初はファンサービス的な感覚で挑戦することにして、それでこれまで歌ってきてはいたんですけど、メジャーデビューはマジで想定外です! ゲーム実況から始まって「いろいろマルチにやっていこう」とは思っていたんですけど、ここまでしっかり音楽をやっていこうとは思っていなかったので。

--では、基本的なところから伺いたいのですが、様々なバーチャルライバーがいる中で、葛葉さんはどんなポジションやキャラクターを担ってきた表現者だと思いますか?

葛葉:ファンからしたら「同じクラスの友達」ぐらいのイメージなんじゃないかな。僕からしても「肩を組んでやってきた」ような気持ちです。「これ、すごくね?」と思うようなものを見つけたらそれを共有して楽しんだり。だから「歌ってみた」的なアプローチを始めるときは「需要あるのかな?」と思っていたんですよ(笑)。でも、みんな喜んでくれたから驚きました。

--葛葉さんが歌い手としてバズったきっかけは、Kanaria「KING」のカバーでしたよね。あの当時はどんな心境だったんでしょう?

葛葉:いや、なんか、すごく不思議で! それまで「バズるってどういう感じなんだろう?」と思っていたんですけど、いざ自分がバズってみたら「数字だけは増えていくけど、実感が湧かないな」みたいな。でも、めっちゃ嬉しかったです! 「聴いてくれる人がこんなにいるのか」と思いましたし、あの曲をきっかけに僕を知ってくれる人が爆発的に増えたので。

--それが今回のメジャーデビューにも繋がっているんでしょうし、なかなか他に類を見ない音楽ストーリーですよね。大概のアーティストは「この音楽を世に広めるんだ」とか「この歌でデビューするんだ」という自我のもとに進んでいくわけですけど、葛葉さんの場合は歌ってみたらファンが喜んでくれて、その輪が広がっていって今に至るという。

葛葉:たしかに、主体性がちょっと欠けていますよね(笑)。

--そういう意味で言ったわけではないんですけど(笑)、純粋に面白いなと思いました。

葛葉:でも、そういう成り立ち方だから「大丈夫かな?」という不安もあります。歌や音楽に凄まじい熱意を持っている人たちと比べたら、僕は全然そこまでじゃないので。もちろん、手は抜いていないんですけど。

--メジャーデビューが決まったときはどんな気持ちになりました?

葛葉:「え、メジャー? メジャーデビューってすごいことだよな……」っていう。気持ちが追いついていかないです(笑)。でも、歌を楽しみにしてくれているリスナーがたくさんいて、そのリスナーたちのおかげで手に入れることができたチャンスなので、win-winッスよね! 自分は挑戦できて、自分という存在を試すことが出来るし、それに喜んでくれるリスナーもいるんだったら、メジャーデビューって良いこと尽くめじゃないですか。

--実際、ファンの皆さんにメジャーデビューを発表したときは、どんなリアクションだったんですか?

葛葉:喜んでくれていました! でも「え、メジャー? メジャーってあのメジャー?」みたいな感じで戸惑っている人もいましたね(笑)。

--葛葉さんと同じリアクションじゃないですか(笑)。

葛葉:そうなんですよ(笑)。

--そんな思いもありながら臨んだ1stミニアルバム『Sweet Bite』の制作はいかがでした?

葛葉:レコーディングとか何もかも初めての経験だったので、音楽に対していろいろ自分で考えながら進めていく余裕がなくて。ただただ必死だったんですよ。なので、そこはまわりの人たちにいろいろ手伝ってもらいました。でも、音楽性に関しては「どういう曲が好きなのか、どういう曲を作りたいのか」みたいなヒアリングから構築していってもらったので、そこは自分発信ですね。

--葛葉さんはどんな音楽が好きで歌ってきた人なんでしょう?

葛葉:僕、本当にミーハーで申し訳ないぐらいなんですけど! 音楽を志す人らしからぬミーハーさで、本当に流行っているものなら何でも聴くんですよ。その中でもハマったアーティストを挙げるとしたら、L’Arc~en~Cielさん、King Gnuさん……バンド系が多いかもしれないですね。ひとつ気に入ったバンドを見つけたら、それに関連するロックな人たちの曲も聴いたりしてきました。ボカロ曲でもロック系というか、ノリやすい曲を好んで聴いたり歌ったりしてきた気がしますね。その辺は『Sweet Bite』にも反映されているかもしれないです。

--歌詞の内容はどのように決めていったんですか?

葛葉:歌詞は大人たちと相談して(笑)。でも、様々な人間模様を描いていくコンセプトだったので、歌っていて面白かったです。印象的な、つい口ずさみたくなるようなフレーズが要所要所に散りばめられているので、聴いてくれる人たちにはそこも楽しんでもらえたらなって。

--1stミニアルバム『Sweet Bite』、葛葉さんにとってどんな作品に仕上がったなと感じていますか?

葛葉:僕の名刺になるようなアルバムになったと思います。夜をメインに活動しているんで、全体的に夜っぽいイメージかもしれない。あと、元ぼくりり(ぼくのりりっくのぼうよみ)のたなかさんに「エンドゲーム」のディレクションや歌唱指導をしていただいたんですけど、正直「もうそのままたなかさんが歌ってくれ!」みたいな感じで(笑)。でも、どう歌ったほうが格好良く聴こえるか、どうすればラップパートに言葉を乗せやすいか、そういうことを細かく教えていただいて。そういう意味では、すごく勉強になりましたし、成長させてもらえた作品でもあるのかなって。

--葛葉さんにとってレベルアップできた作品でもあると。

葛葉:まだ実力的に全然足りない部分はあるんですけど、経験値にはなりましたね! やっぱり現場でしか得られないものってあるんですよね。甲子園に行った野球部みたいな感じで、そこへ行かないと経験できないことがたくさんあるなと感じました。なので、音楽的にはもちろんなんですけど、人生的にもめちゃくちゃ面白いなって。メジャーデビューが決まって、アルバムを制作させてもらえなかったら絶対に経験できないことだらけでしたし、そういう場所へ連れて行ってくれたリスナーにも感謝です!

--今後、その『Sweet Bite』の収録曲たちをライブでお届けするビジョンもあるんでしょうか?

葛葉:ありますね! 直接ライブで届けたいです。昨年11月に初のワンマンライブ『Kuzuha Birthday Event「Scarlet Invitation」』をZepp Hanedaで開催させていただいたのは、今まで応援してくれた人たちに「これから成長していくよ」ということを宣言するためのライブだったんですけど、リスナーたちの生の熱量も体感させてもらったんですよ。あれはライブでしか味わえないものですし、自分もライブでしか届けられないものがたくさんあると思うので、今回の『Sweet Bite』の楽曲たちもライブで歌いたいですね。どう説明すればいいのか分からないんですけど、1stワンマンライブはステージ上での手応えが物凄くあったんですよ! だから単順に「またライブがやりたい」という想いもあります。

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