櫻坂46、4thシングル『五月雨よ』はキャリアの突破口となるか グループの“これから”に必要なことを考える

 4枚目のシングル『五月雨よ』の発売日が近づくにつれて、徐々に期待が高まっている櫻坂46。改名前の欅坂46は、結成後わずか4年で東京ドームを埋めるという急成長ぶりを見せていた。しかし2020年に櫻坂46へと改名して再スタートを切ったことで、その勢いも一旦は落ち着いた感がある。当時ドームに立ったメンバーの多くが卒業し、すでに中心メンバーも入れ替わりつつある今、ここから櫻坂46がもう一段階飛躍するために必要なことは何だろうか。

楽曲で勝負していく精神は貫いていくべき

 先日『五月雨よ』のジャケットアートワークが公開され、そのデザインが絶賛を浴びていた。夜の桜を彷彿とさせる独特の幻想的な世界観の中に立つ、凛としたメンバーの表情が印象深い。アートティレクションを担当したのはKing Gnuの常田大希が主宰するクリエイティブチーム・PERIMETRONのメンバーであるOSRIN。櫻坂46はその他、世界的に活躍するダンサーのTAKAHIROによる高度な振り付けや、Remi Takenouchiによる上品かつ華やかな衣装など、制作面でのこだわりを一貫して保っている。こうしたクリエイティブ面での本気度は、すでに十分備わっているグループと言えるだろう。

 それを踏まえて櫻坂46に必要なもの、それは作曲家だ。例えば乃木坂46にとっての杉山勝彦(「君の名は希望」「きっかけ」「サヨナラの意味」など)や、欅坂46にとってのバグベア(「サイレントマジョリティー」「不協和音」など)のような存在である。欅坂46時代にはナスカ(「エキセントリック」「避雷針」「黒い羊」など)もいた。彼らのように、結果的にそのグループの代表曲となるような、あるいはその後のグループの方向性を決定付けてしまうほどの力を持った作品を生み出せる作家の存在が、今の櫻坂46にはまだいないと感じる。

 誤解してほしくないのは、決して才能のある作曲家がいないと言ってるのではない。世の中にはフレーズひとつで人々の心をキャッチできるような、優れたメロディを生み出せる天才が何人もいる。ここで言いたいのは、櫻坂46というグループの魅力にマッチした作曲家の存在だ。

 そもそもアイドルグループにとって、作曲家の存在は切っても切り離せない関係にある。古くはモーニング娘。とつんく♂の関係や、Perfumeにとっての中田ヤスタカのような関係性、あるいはももいろクローバーZと前山田健一のように、日本のアイドルグループの歴史はほとんどそのままクリエイターの歴史と言っても過言ではない。歌手と作曲家が二人三脚となって、共にステージを駆け上がっていく流れが日本のポップス史にはある。そういう意味でも櫻坂46を唯一無二の存在へ押し上げる独自の色を持った作曲家の存在が欠かせないだろう。

 欅坂46があれほどの加速度を得たのも楽曲のヒットが大きかった。デビュー曲「サイレントマジョリティー」がいきなりヒットを記録し、さらにそれをたった一年後にリリースした「不協和音」で乗り越えていった。常に楽曲で結果を残してきたグループだっただけに、櫻坂46も楽曲で勝負していく精神は貫いていくべきだろう。

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