miwaが伝える、自分の内側から輝く大切さ 今だからこそ届けたいアルバム『Sparkle』を語る

miwa、自分の内側から輝く大切さ

 前作『SPLASH☆WORLD』(2017年)以来、約5年ぶりとなるオリジナルアルバム『Sparkle』をリリースするmiwa。初のベストアルバム『miwa THE BEST』(2018年)を経て届けられた本作には、「リブート」(ドラマ『凪のお暇』主題歌)、「アイヲトウ」(映画『総理の夫』主題歌)などの話題曲のほか、“自分のなかから輝いてほしい”という思いを込めた表題曲「Sparkle」をはじめとする新曲も充実。シンガーソングライターとして着実に幅を広げ続けているmiwaに本作について聞いた。(森朋之)

内側から輝けるような、前向きな新しい一歩を踏み出せるアルバムに

ーー5年ぶりとなるオリジナルアルバム『Sparkle』がリリースされます。まさに待望の作品ですね。

miwa:ありがとうございます。この5年の間にベストアルバム(『miwa THE BEST』)をリリースして、その後もシングルや配信曲を出してきて。新曲はコンスタントに発表してきたんですが、アルバムは確かに久しぶりですからね。アルバムは私にとって特別なものだし、素直に嬉しいです。今は音楽の聴き方が多様化していて、CDの意味合いも変化していますが、私はデビューしてからずっとアルバムを大事にしているので。

ーーmiwaさんの音楽性はかなり幅広いので、その時期の全体像を伝えるためにはアルバムというフォーマットがいちばんいいのかもしれません。本作にはドラマ、映画、アニメなどの楽曲も多数収録されていますが、miwaさんにとってタイアップ曲の魅力とは?

miwa:タイアップだからこそ生まれた曲ばかりというか、自分にはなかったテーマや音楽性と出会えるし、クリエイションとしてすごくおもしろいと思います。たとえば「神無-KANNA-」(劇場オリジナルアニメ映画『神在月のこども』主題歌)は映画の世界観に合わせて“和”を大事にしながら制作したんです。走る少女の物語なので、彼女が走っている姿やそこから見える景色、あとは“好きという気持ちを大事にする”というテーマもあって。その組み合わせは自分からは出てこなかったと思います。「DAITAN!」(ドラマ『妖怪シェアハウス』主題歌)もそう。『妖怪シェアハウス』のおもしろい世界観やコメディの要素を取り入れたからこそ、ああいうユーモラスな曲になったと思います。

ーーやったことがないテーマを楽しめるタイプなんでしょうね。

miwa:そうですね。新しいことをやっているとワクワクするし、それが今までになかった手触りの曲になっていくので。

ーー結果的にとてもカラフルな楽曲が集まりましたが、アルバムとしてまとめるときはどんなイメージがありましたか?

miwa:アルバムのタイトル曲(「Sparkle」)がまさにそうなんですが、自分の内側から輝けるような、前向きな新しい一歩を踏み出せるアルバムにしたいなと思ってました。「Sparkle」というタイトルからはキラキラした感じが想起されると思うんですが、外側にある輝きに向かって手を伸ばすというより、自分のなかから、自分らしく輝くというか。自分の心に目を向けて、それを思い切り解放するイメージですね。今って、そういう輝きから遠ざかっている人も多いと思うんですよ、世界的に。こんな時代だからこそ、ポジティブに未来に進めるような音楽を届けたいなと。

ーーこの2年間は世界中が大きなダメージを受けましたからね。特にミュージシャンへの影響は甚大ですが、miwaさんはこの期間をどんなふうに過ごしていましたか?

miwa:状況はどんどん変わっていきましたけど、いつも「今の自分ができること」を考えていた気がします。ライブができないときは家から弾き語りで配信ライブをやったり、コロナが落ち着いた時期はルールのなかで有観客ライブを開催したり。そのときどきで「できること」に目を向けて、最善を尽くしてこれたんじゃないかなって。ファンのみなさんとは離れていた期間もあったけど、そのぶん、久しぶりに会えたときの喜びを大事にしたくて。ステージに立つこと、人前に立つことを一つ一つ噛みしめた2年間でもありました。

miwa

ーーライブを行うこと自体が貴重な機会になりましたからね。

miwa:そうなんですよね。以前は「ライブでファンのみなさんに会える」というのが当たり前だったし、ちょっとルーティン化していたところもあって。今は1回1回のライブがすごく貴重で。次いつ会えるかわからないし、ライブのたびに「目いっぱい楽しもう」「この瞬間をしっかり味わおう」という気持ちが強くなってますね。

ーー「Sparkle」もライブ映えしそうな曲ですよね。

miwa:シンガロングできそうなパートもありますからね。この曲の人称は“僕ら”で、自分のなかでは同じ時代を生きる同志みたいなイメージもあるんです。ライブだけではなくて、曲を聴いてくれたみんなで一緒に歌っているというか。アレンジはher0ismさんなんですが、伝えたいメッセージや込めたい思いを最初に伝えていて。サウンドともしっかりリンクしてるなと思います。

ーー新曲についても聞かせてください。まず「UUU」はNAOKI-Tさん、大知正紘さんとの共作による楽曲。

miwa:NAOKI-Tさんに大知くんを紹介してもらって、3人でコライトすることになったんです。これまではNAOKI-Tさんと2人で一緒に作ることが多かったので、3人でのコライトは私にとってはすごく新鮮で。まず、楽曲の世界観を話すところからはじめたんですよ。「UUU」の主人公は10代の女性を想定していて、SNSの世界でモヤモヤしているような恋愛模様を描けたらなって。

ーーmiwaさん自身の等身大ではなく、少し下の世代の女の子の恋愛ソングなんですね。

miwa:そうですね。私の学生時代はまだスマホはなかったし、SNSも普及していなかったので。携帯のメールのやりとりでモヤモヤすることはあったかもしれないけど、いまのSNSのほうがいろんなことが起きてるんだろうなと。まだ社会に出る前の女性を主人公にすることで、恋愛に特化した歌にしたいという気持ちもありました。

ーーヒップホップのテイストが取り入れられたサウンドやメロディも、10代の恋愛シーンにすごく合ってるなと。

miwa:ちょっとK-POPを意識してたんですよ。「UUU」を作ったのは2〜3年前なんですけど、「アルバム曲は、新しいことに挑戦したいね」と話していて。アルバムだからこそトライできることがあると思うし、シングルとは違う音楽性のバリエーションを取り入れることができるので。K-POPやヒップホップの要素を加えることで、今までにはない、おもしろい楽曲になったと思います。

ーーここ数年のトレンドの潮流も感じられますね。miwaさん自身も新しい音楽はチェックしてるんですか?

miwa:以前はすごくチェックしていて、自分で新しい音楽を探すのが大好きだったんですけど、最近は自分で探すより先に、ストリーミングサービスが教えてくれるような感覚です。

ーー確かに! そして「Aye」は〈声上げて歌え Aye! Aye! Aye!〉というフレーズからはじまるアッパーチューン。これもライブで盛り上がりそうですね。

miwa:夏のライブやフェスをイメージしながら作った曲なんですよ。スパニッシュのサウンドを取り入れてみたかったし、野外ステージで盛り上がれるライブチューンになればいいなって。制作していたのはだいぶ前で2017年くらいかな。コロナの前なので、ライブといえば「みんなで騒ぐ!」みたいな感覚でした。

ーー現状は“マスク着用”“声出し禁止”というルールが広まって。この状況には、もう慣れましたか?

miwa:慣れてはいないんですけど、お客さんを見ていると、この状況のなかでも楽しもうとしている気持ちが伝わってくるんですよね。声が出せなくても、思い切り拍手してくれたり、一生懸命に手拍子してくれたり。その思いがすごく嬉しいし、今だからこその一体感を大事にしたいというところにシフトしてますね。

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