miwaの“ロックの時代” が幕を開けた 『Storyteller / ティーンエイジドリーム』に表れた覚悟や進化

miwaの“ロックの時代” が幕を開けた

 miwaが12月25日に両A面シングル『Storyteller / ティーンエイジドリーム』をリリースした。各音楽配信サイトでは11月より先行配信がスタート。2曲それぞれのMVも公開されており、視聴したファンからは「歌いはじめから震えた」「かっこ良さが増している」など絶賛の声が相次いでいる。

miwa 『Storyteller』Music Video(Short Ver.)
miwa 『ティーンエイジドリーム』Music Video

 「ティーンエイジドリーム」はアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(テレビ東京系)のオープニングテーマとしてもオンエア中。前作「リブート」同様に作詞は杉山勝彦との共作で、10代の迷える気持ちを疾走感あふれるサウンドにのせて歌い上げた。元メガデスのマーティ・フリードマンによるパワフルなギタープレイも聴きどころとなっている。一方、「Storyteller」は、歌い出しから彼女のエモーショナルな声が炸裂した爽快なロックナンバー。MVでも髪をオールバックにして歌唱する姿を披露し、これまでのイメージを一新して見せた。サウンドプロデューサーには、「リブート」に引き続きONE OK ROCKやMAN WITH A MISSIONを手がけるakkinを迎え、ドラムには、いきものがかりやLiSA、SexyZone、西川貴教など、JPOPからアイドル、そしてロックに到るまで、多岐にわたるアーティストのレコーディングを行っている先日急逝した山内"masshoi"優も参加し、骨太なバンドサウンドが貫かれている。どちらの曲もmiwaのロックサイドが開花した“攻め”の楽曲となっている。 

 デビュー曲がいきなりドラマ主題歌に抜擢。1stアルバム『guitarissimo』は平成生まれのシンガーソングライターとして初のオリコンアルバムチャートで1位を獲得と、新人アーティストとしては異例づくしの実績でスターダムを駆け上がっていったmiwa。ギターを抱えてステージに立ち、伸びやかで透明感のあるハイトーンボイスを響かせる歌唱スタイルで、幅広い年代から支持を集めてきた。身長149センチの小さな体に、まっすぐな長い黒髪。いたいけな少女のような出で立ちにもファンが多かったのは言うまでもない。

 2010年にデビューして以来、ヒカリヘ他数々のヒットを受けて紅白の連続出演等華やかな実績を重ねてきた彼女に転機が訪れたのは、2019年8月にリリースした「リブート」だろう。前年にはトレードマークでもあったロングヘアをばっさりカットし、ビジュアル面のイメージもガラリと変化させた彼女。発表した楽曲は、ドラマ『凪のお暇』(TBS系)の主題歌として書き下ろされたもので、力強くビートを刻むギターカッティングや、シャウトするようなサビの歌い方が痛快なロックチューンだった。〈ああすれば こうすれば こうしたら なんて考えて 進めないでいるなら 複雑な感情 全部捨てちゃえ〉と、日常の中で感じるモヤモヤとしたさまざまな感情を捨て去り、自分らしく生きることを肯定するストレートなメッセージは、ドラマのテーマとも相まって多くの女性たちの支持を獲得した。本人も「凪が仕事や恋愛、住まいまで変えて、すべて捨てて心機一転する様に、同世代の女性としてパワーをもらいました。

 10代の時のような扇情的な衝動ではなく、大人の女性が放つ、長い人生を踏まえた上での理性的で前向きな叫びを意識して楽曲制作をしました」とコメントしているが、(参照:miwa、新曲「リブート」が黒木華主演ドラマ『凪のお暇』主題歌に)変化を恐れず自らの信じる音楽に向き合っていこうとしていたmiwa自身にとっても、大きな意味を持つ楽曲だったのではないかと思う。その証拠に、MVではギターをかき鳴らしながらヘッドバンギングし、ハイキックも繰り出すなどアクティブな面もさらけ出した。miwaの“ロックの時代”はこうして幕を開けたのである。

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