『Kan Sano Talks About Pop Music』第4回
Kan Sanoが語る、山下達郎の影響を感じる楽曲と再評価の理由 『Kan Sano Talks About Pop Music』第4回(後編)
16ビートで捉えた山下達郎の音楽
ハーモニーにおけるテンションノートなど、音にジャズやソウルのエッセンスが入っていることが、達郎さんの音楽に洋楽っぽさを感じる理由なんですけど、リズム面においても、当時の他の日本のミュージシャンと聴き比べると違っていて。それは「16ビートで音楽を捉えている」ということなんです。
8ビートは8分音符で音を捉えていて、16ビートは16分音符で音を捉えているんですけど、後者はファンクやソウルなど、ブラックミュージックにおける跳ねるような音の捉え方なんですよね。達郎さんはそれを70年代からずっとやっています。一番大きいのは、村上“ポンタ”秀一さんが叩いていたドラムなんですけど、達郎さんのギターも16分音符のフィールで演奏していて、それも楽曲全体の雰囲気に繋がっていると思います。
やっぱり日本人の心に響くのは、美空ひばりさんに代表されるような“歌”なんですよね。達郎さんも特に80年代以降、そこは意識されていて、サウンドではテンションノートが入ったハーモニーや16ビートを土台にしつつ、その上に日本的なメロディや歌を乗せることで、日本の人にもちゃんと届く邦楽として成立させているんじゃないかなと感じています。
『Kan Sano Talks About Pop Music』バックナンバー
・Kan Sanoによる新連載『Kan Sano Talks About Pop Music』スタート 第1回目はThe Beatlesを解説(前編)
・Kan Sanoによる連載『Kan Sano Talks About Pop Music』第1回(後編) The Beatles、J-POPに与えた影響
・Kan Sanoが語る、スティービー・ワンダーから学んだピアノ奏法 『Kan Sano Talks About Pop Music』第2回(前編)
・Kan Sanoが語る、スティービー・ワンダーのコード進行とJ-POPへの影響 『Kan Sano Talks About Pop Music』第2回(後編)
・Kan Sanoが解説する、ディアンジェロがもたらした新しいリズム革命 『Kan Sano Talks About Pop Music』第3回(前編)
・Kan Sanoが語る、ディアンジェロやJ・ディラがJ-POPに与えた影響 『Kan Sano Talks About Pop Music』第3回(後編)
・Kan Sano、山下達郎が奏でるハーモニーの秘密を実演解説 『Kan Sano Talks About Pop Music』第4回(前編)