YOASOBI Ayase、声の魅力にも脚光 セルフカバー作品から歌唱力を検証

 YOASOBIのコンポーザーとして楽曲制作や演奏を担当する傍ら、ボカロPとしても活躍するAyaseによるセルフカバー配信シングル『夜撫でるメノウ/幽霊東京』がバイラルチャートを中心に人気を博している。『夜撫でるメノウ/幽霊東京』は、ともにAyaseのボカロプロデューサー時代の人気楽曲。2020年にYouTubeで公開された「夜撫でるメノウ」セルフカバー動画は再生回数が約2200万回(ボカロ版、セルフカバー版合算/11月7日現在)と、その人気ぶりは再生回数からも見て取ることができる。どちらもこれまでYouTubeやCDでしか聴くことが出来なかったこともあり、ファン待望の配信リリースとなった。今音楽シーンで最も勢いのあるYOASOBIのコンポーザー、Ayaseのセルフカバーで注目度も高い。

Ayase「幽霊東京」

 まず「幽霊東京」を聴いてみると、YOASOBIらしい、それはつまりAyaseらしいとも言い換えることができるが、彼の記名性の高い特徴的な譜割りとアレンジが印象的だ。息継ぎを必要としないボーカロイドという文化から影響を受けたと思われる、息つく暇なく言葉を紡いでいく特徴的なボーカルと、キャッチーでデジタルな疾走感のあるサウンドは、YOASOBIの「夜に駆ける」や「三原色」といった楽曲とも通じるものがあり、Ayaseの楽曲の大きな特徴とも言えるだろう。歌詞を見てみると「幽霊東京」はYOASOBIの楽曲でも頻出する「夜」を軸に、東京という街を幽霊のように彷徨う僕の諦めともいえるような感情とそれでもこの街で生きる覚悟を歌う、YOASOBIの楽曲とのリンクも予感させる歌詞だ。

夜撫でるメノウ / Ayase (self cover)
幽霊東京 / Ayase (self cover)

 一方で「夜撫でるメノウ」を聴いてみると、こちらも間断なく言葉を繋げる譜割りが特徴的な楽曲である。そして「幽霊東京」と比べるとよりメロディアスで切なげなムードを持つ楽曲に仕上がっている。これもまたYOASOBIの「アンコール」や「優しい彗星」といった楽曲とも通じるエッセンスと言える。そんなムードに呼応するかのように書かれた歌詞は、終電をテーマに愛を歌う、普段のYOASOBIの楽曲と比べても少し大人な感覚のある楽曲となっている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる