『アイマス』『バンドリ!』らがもたらした影響とは? 音楽を花形としたメディアミックスプロジェクトの変遷

 近年のキャラクターコンテンツシーンにおいて、マンガ・アニメ・ゲームのいずれかをスタートにし、複数のメディアでの展開を前提とした大型プロジェクトに関しては“メディアミックスプロジェクト”と称されることが多い。数多くのグッズ展開、映画やアニメ、舞台化なども見据えた中で、音楽も重要な要素となる場合がある。

 世界的に人気を博す『ポケットモンスター』シリーズや、ここ2年ほどで大きくヒットを飛ばした『鬼滅の刃』などを見て分かるように、ストーリーとキャラクター性に合わせたビジネス展開を進めていくのが正攻法。音楽という要素の優先順位が、常に高い位置にあるということではない。だが、多くのメディアミックスプロジェクトの場合、ストーリーにおいて音楽が重要なファクターとなってくる。

 例えば、2000年代におけるキャラクターコンテンツで言えば、アニメ放映とともに登場キャラクターを演じた声優にそのキャラのままオリジナル曲を歌唱してもらう、いわゆるキャラクターソングが大きく注目を集めた。

 現在もアニソンシーンを牽引する<ランティス>が、アニメ『ギャラクシーエンジェル』(CS、テレビ東京系)の音楽制作を引き受け、ヒロインであるミルフィーユ・桜葉(CV:新谷良子)のキャラクターソング『LUCKY GIRL』をリリースしたのは2001年4月25日のことだ。

 この当時はアニメ声優が歌唱し、イベントに出演することも少なかった時代だったが、その後2005年に開催された『Animelo Summer Live』がアニソンシーンのムードを変えはじめ、深夜アニメ作品のヒットに引っ張られるように、キャラクターソング、声優アーティストの楽曲が注目されるようになった。

 2005年よりスタートした『THE IDOLM@STER』(以下『アイマス』)シリーズは、アイドル育成ゲームという特性を積極的に活かし、2000年代後半からライブイベントや音源リリースを積極的に行ない、大きな存在感を示していった。2021年現在では様々なゲームプラットフォームを股にかけ、複数の作品を同時展開している。音楽を花形にしたメディアミックスプロジェクトとして、最も大きなプロジェクトの一つといっても差し支えないだろう。

enza対応ゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」PV第5弾【アイドルマスター】

 『アイマス』の成功、そして2000年代後半の勢いもあり、ここからメディアミックスプロジェクトがより活性化していくことになる。2010年からはKADOKAWA・ランティス・サンライズの3社によるプロジェクト『ラブライブ! School idol project』がスタートし、2015年にはブシロードが主導する『BanG Dream!』が立ち上がった。

 なお、『BanG Dream!』については、ブシロードが配信するスマートフォン向けリズムゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』が成功を収めたこと、『THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2014』でジュリア役として出演した愛美のパフォーマンスに感銘をうけたスタッフからの提案を聞き受け、本作の制作へと乗り出したというドラマティックな話がある(※1)。

【試聴動画】『ラブライブ!The School Idol Movie』劇中歌「Angelic Angel」
THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!! 2014 スペシャルダイジェスト! Vol.03

 こうして、『THE IDOLM@STER』『ラブライブ!』『BanG Dream!』と次から次へと灯を引き継ぐようにして、音楽系のメディアミックスプロジェクトの大ヒットが続いていったのだ。

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