King Gnu&ヒゲダンカバーで話題の『アオペラ -aoppella!?-』とは? 男性声優×アカペラによる新たな盛り上がり
男性声優達がキャラクターボイスを務め、アカペラで歌も歌うという、「青春」×「アカペラ」がテーマの新規音楽原作プロジェクト『アオペラ -aoppella!?-』。現在、King Gnu「白日」、Official髭男dism「Pretender」のカバー動画が公開から2カ月で270万回を超えるなど確実な盛り上がりを見せており、5月21日には1st CD『アオペラ -aoppella!?-』も発売となる。声優×アカペラというありそうでなかったこのプロジェクトは、これからさらに火がつきそうな勢いだ。
声だけで音楽を表現するアカペラ。どういうものかなんとなくわかるが、具体的にはどのように歌うことで曲が完成するかは意外とわからないものかもしれない。そんな場合は、まず宗円寺朝晴(CV:佐藤拓也)によるアカペラ解説動画を見ることをお勧めする。その中で、「白日」を題材に各パートを少しずつ重ねて聴かせてくれるため、各パートの役割と、曲がどのように完成していくかよくわかるはずだ。
そんなアカペラを題材にした『アオペラ』のストーリーは、都立音和高校のリルハピ、私立奏ヶ坂中学高等学校のFYA'M'というアカペラ部のメンバーが、高校生限定アカペラコンテスト「アオペラ」に挑戦するというもの。キャラクターを演じるのは、木村良平、逢坂良太、KENN、柿原徹也、前野智昭、小野友樹、豊永利行、浦田わたる、佐藤拓也、濱野大輝、仲村宗悟の全11名。豊永や小野、仲村などアーティストデビューしている者が多いだけでなく、浦田は男性ボーカルユニット、浦島坂田船の一員(うらたぬき名義)であり、木村、前野、柿原、KENNは『アオペラ』の前身である『ぺらぶ!』にも参加しているなど、歌唱力のあるメンバーをそろえた布陣になっている。
そして、『アオペラ』が一般的なアカペラと異なる点として挙げられるのは、キャラクターに合わせた歌い方をするという点だろう。例えば、木村演じる掴みどころのないふわふわとした性格の鈴宮壱は、柔らかく安定感のある歌声。KENN演じる雁屋園道貴は、聖歌隊経験があり、かわいらしさと透明感ある歌声など、歌の中でどのようにキャラクターを表現しているかを楽しめるのも、声優プロジェクトだからこそだ。
そんな彼らの歌唱で大きく注目を浴びたのが、先に述べた「白日」、そして「Pretender」のカバーである。オリジナルはどちらも2019年に発表され、日本の音楽シーンを代表する作品となった曲だ。
FYA'M'がカバーしたKing Gnuの「白日」はメロディの高低差の動きがかなり激しく、普通に歌唱するのがまず難しいところを、FYA'M'は見事に歌いこなす。また、「白日」らしさを創り出す印象的なドラム、ベースのリズム隊を、11人の中で唯一のパーカスである仲村宗悟と、存在感ある声音でベースパートを担う濱野が表現している。
一方、リルハピがカバーした「Pretender」も、言わずと知れたOfficial髭男dismの大ヒット曲。『関ジャム J-POP20年史 2000~2020年プロが選んだ最強の名曲ベスト30』(テレビ朝日系)では堂々の第1位を獲得した、まごうことなき名曲である。いつまでも耳に残る旋律の美しさ、細かく韻を踏むことで歌詞が生み出される心地よさ、ドラマチックなバラードのテンポ感など、アカペラ映えする曲と言える。それが、すべて人の声によるアカペラアレンジによって、より柔らかく透明感のある印象に仕上がっている。
声優や二次元コンテンツに関心がなくとも、日本の音楽シーンを牽引した2曲のアカペラバージョンは一聴の価値があるのではないだろうか。また、カバー第2弾としてBUMP OF CHICKENの「天体観測」、DISH//の「猫」の制作が発表されており、これからの展開も楽しみになる。